北欧神話のあらすじ!どこよりも分かりやすくまとめてみた

身勝手なオーディン、ずる賢いロキ、自由すぎるフレイヤなど、個性派ぞろいの神々が目白押しの北欧神話。現在でもゲームやファンタジーの世界で大人気です!
でも、「神々が滅びる」という衝撃の結末までいたるストーリーは、あまり知られていないのでは?
このページでは、北欧神話の重要人物や有名な場面をピックアップして、大まかなストーリーをざっくり解説します!
世界の初め。神々の王オーディン誕生
世界の初めは、炎と氷。その間の空間しかありませんでした。炎は少しずつ氷を溶かし、その雫が空間に落ちていきました。その雫から、最初の生命が生まれます。それが原初の巨人ユミルでした。
ユミルとその一族
ユミルの特徴は、とにかく巨大!ぐーたら!って感じです。ユミルは巨大なだけで、特に何も活動してないです。いつの間にか側に産まれていた牝牛アウズフムラの乳を飲み、ひたすらごろごろしていたようです。
ユミルはごろごろしているうち、わきから汗をかきました。この汗から無数の巨人が誕生。(臭そう)これが巨人族になりました。
オーディン誕生。いきなりユミルを殺害!
さて、ユミルにひたすら乳を飲まれてるアウズフムラ(牛)。この牛、世界には氷と炎しかなくって食料が全然ないはずなのですが、どういうわけか飢え死にしません。まるで仙人みたいな牛で、氷さえ舐めてりゃ生きられたようです。
この日もアウズフムラはべろべろと氷をなめていたのですが、突然、その氷の中からブーリという男が出てきました。これが最初の神です。ブーリは息子ボルを産み(単体で産んだのかな?アメーバーみたいなやつです)、ボルがまた息子オーディンをもうけます。このオーディンが神々の王となるのです。
このオーディン、産まれたときからヤタラと好戦的で凶暴。彼はぐーたらな巨人ユミルが気に入りません。「こんなウドの大木、死んだ方がマシだぜ!」とばかり、いきなりユミルに襲い掛かると、彼を殺害してしまいます!
ウトウト寝てたら、突然殺されたユミル。死んだユミルの身体からは大量の血が流れ、これが海になりました。この海で、多くの巨人たちが溺れ死んでしまいます。
さて、オーディンは「気に入らない」と、突然巨人たちの親を殺したわけですが、なんでオーディンが巨人を嫌っていたのかは、ぶっちゃけよく分かりません。神々と巨人たちは、この「世界の始まり」から、どういうわけだかお互いを激しく嫌ってます。俗にいう、「虫が好かない」というものでしょうか……。この神々と巨人の対立が、その後のラグナロク(最後の戦い)の原因になるのです。
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オーディン、世界を創造する
オーディンは殺害したユミルの巨大な体から、世界を創ろうと考えます。オーディンは結構働きものです。
ユミルの身体から大地と天を作る
まず、オーディンはユミルの巨大な体をえっちらおっちら運びます。
それから、肉で大地を、毛で木を、骨で岩石を、脳みそで雲を作ります。そして、頭蓋骨を高く上げて、これを天にしました。天には火花を飾り、それを太陽と月と星々にしました。
つまりですね、ユミルの身体から海、陸、天、山脈などができたわけでして…………生きてた時は、ただおっぱい飲んで寝てるだけのタヌキさんみたいな奴だったユミル、死んでからの方がよっぽど世の中のためになったのですね。
人間を産み出したオーディン
あるとき、オーディンは海辺を散歩中にトネリコとニレの流木を見つけました。
何を思ったか、オーディンはその木を人型に彫刻して命を吹き込みます。木はたちまち男と女になって動き出しました。これが人間の祖先なのです。
北欧では、トネリコとニレは槍と盾に使う材料。このことから、人間は生まれつき戦い好きなんだとか。う~ん、なんか深いですね。
オーディン、巨人が嫌いだから境界線を作る
神々は巨人と対立しているので、できるだけ顔を合わせたくありませんでした。そこで、住む場所を明確に分けることにします。
巨人族はヨーツンヘイムの国に、神々はアースガルドに、そして、ヨーツンヘイムとアースガルドの間に人間の世界ミッドガルドを築きました。つまり、「人間界」とは「神々の世界」と「巨人たちの世界」の、間に存在するわけですね。
こうして住む場所を決めて離れて暮らすことで戦いを避けたのでした。
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世界樹ユグドラシル。まるでラピュタな世界!
さて、世界の形がこれでほぼ完成したので、イラストで説明しておきます。世界の真ん中にそびえているのは、世界樹のトネリコです。このトネリコは「世界そのもの」で、その名もユグドラシル!あらゆるものの上に枝葉をのばし、そびえています。
その根は大きく三つに分かれてどこまでも伸び、一つは神々の世界アースガルド、一つは巨人の世界ヨーツンヘイム、残った一つは冥界のヘルを取り巻いています。人間界のミッドガルドは、ヨーツンヘイムのある二番目の大地にあります。このミッドガルドとアースガルドの間にはビフロストという虹の橋がありました。(二番目の大地が青いのは海があるからだよ)
アース神とヴァン神のバトル。美と愛の女神フレイヤ登場
オーディンを中心として誕生した神々を「アース神」といいます。しかし、神々は他にも存在しました。
もう一つ、強力な力を持った「ヴァン神」がいて、アース神たちはこの神々と戦うことになりました。
魔女グルヴェイグ登場。頭に来たアース神
ヴァン神との戦いのきっかけは、一人の魔女グルヴェイグでした。この魔女はとっても邪悪な存在だったので(超お金好きの欲深い魔女だったそうな)、アース神はグルヴェイグを殺害。しかし、ヴァン神たちはグルヴェイグと仲が良かったのです。彼女の復讐のために、アース神へ宣戦布告しました。
ヴァン神VSアース神!勝つのはどっちだ?
アース神とヴァン神、魔術を駆使して戦います!
しかし、両軍の力は五分五分。ついに決着はつきませんでした。だんだん戦うのが馬鹿馬鹿しくなってきた神々。ついに「平和が第一さ!」と悟って、休戦することを決意します。
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人質交換。アースガルドに来たフレイヤ。首だけになったミーミル
神々は平和を保つため、お互いの地位のある神を交換して人質にすることで同意。ヴァン神からは超美人のフレイヤ、その兄のフレイ、父のニヨルドが送られてきました。このフレイヤの美貌は尋常じゃありません!何しろ、美と愛の女神です。アース神はたちまちフレイヤにメロメロになって、あっという間にフレイヤは神様カーストを駆け上っちゃいます。
一方、アース神から送った人質は、賢者ミーミルと、顔だけはイケメンで中身はバカのヘーニル。「神々の王」のくせに、オーディンは意外とケチです。
しかしそのうち、ヴァン神はヘーニルが顔だけの脳なしであることに気づいてブチ切れ。ミーミルの首を斬り、その首をアース神に送り返してきました!はっきり言って、ミーミルは完全にとばっちりです。かわいそうに!
が、もっと衝撃なのはオーディンのこの後の行動!何とオーディンはミーミルの首を防腐処理して、魔法でその首が自由にしゃべれるようにしました!ミーミルはその後、首だけでオーディンの相談役になり、様々な助言をするのでした。う~ん、ミーミル、どこまで気の毒な奴なんでしょうか!この後、何千年も首だけですよ⁈
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アースガルドの城壁づくり。ロキ大活躍!
ヴァン神との戦いで、アースガルドの城壁はボロボロに崩れていました。
でも、自分たちで直すのは嫌だと思っていた神々。汗水流して石を運ぶより、お酒を飲んでいたほうが楽しいと考えていました。まあ、そりゃそうなんですけど……神様たちぐーたらすぎますね。
ちなみに、この頃飲まれていたお酒はエール(ビールのこと)かワイン。ほとんどはエールです。海賊が使ってるような、ジョッキか、角笛みたいな入れ物で飲んでました。
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ボロボロになったアースガルド。突然来た巨人の棟梁
そんな神々のところへ救世主が!一人の男がやってきて、「わたしがアースガルドの城壁を直しましょう。でも、城壁が完成したらその代価としてフレイヤをちょうだいね」と言ってきました。この男、巨人です。……神々と巨人は敵対してて互いに嫌ってますが、こと女関係のことだけは別でした。神々は美人だったら巨人でも手を付けちゃうし、巨人たちもキレイな女神は大好き!
とくに美の女神フレイヤは別格!この女神、性格は美人じゃないですが、見かけは国宝レベル。神々はもちろん、巨人もメロメロ。小人までラブコールを送ってくるという、すでに生き物の種類を超越した美女だったのです!
「城壁を直す」と聞いて、これは渡りに船!と神々は思いましたが、「美人のフレイヤをやるのは嫌だ」とも思いました。(フレイヤはとってもフリーダムな女だし、みんなフレイヤと夜遊びしたいから)
つまり、自分は働きたくないから、この男に城壁を直させたいけど、フレイヤをやるのはイヤ。タダ働きさせて、自分たちは酒飲んでたい!ってことです。超ワガママです!
棟梁をペテンにかけるロキ
ここで、頭のいいロキが大活躍!
ロキはそもそも巨人族の一人ですが、「神々の一員になりたい」とオーディンに近づき、オーディンに気に入られて神への仲間入りを果たしたという、特殊な人物です。彼は非常に奸智に長けていて悪知恵が働くので、神々はこういうピンチの時には、必ずロキに頼ります。
「とりあえず、あの棟梁に働かせればいい。半年間だけという期限を決めよう。あの棟梁が期限内に城壁を作ることができなければ、フレイヤを渡さなくてもいいし、作った分の城壁はタダで手に入るんだから」
とロキは神々に助言します。
汚れた城壁
フレイヤをゲットするために、「絶対半年で城壁を直す!」と、汗水流して必死で働く巨人の棟梁(いじらしいですね)。ついに、あと一日で城壁は出来上がると思った、その時!棟梁の愛馬の目の前に、美しい雌馬が現れました。
この雌馬の正体は、実はロキ。ロキはなんにでも化けることができるので、雌馬に化けて棟梁の馬をたぶらかし、一緒にどこかへ行ってしまいました。
荷物運びの馬を失った棟梁は城壁を期限内に完成できませんでした。神々はタダで城壁を手に入れましたが、このペテンのために神々の住処アースガルドは汚れてしまったのでした。
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オーディン、旅をしまくる
神々の王、オーディンは巨人族と神々の対立をいつも気にしていました。いつか、神々と巨人族が雌雄を決するときが来て、そのとき神々は勝利できるのか不安だったのです。
そのため、「巨人に勝てる方法が知りたい」「もっと賢くなりたい」と考え、知恵を熱望するようになりました。
知恵を求めて、世界中を放浪する癖がついたオーディン。ここではオーディンの有名な旅3つを紹介。
オーディン、片目になる
とにかく賢くなりたいオーディン。首だけになっちゃった賢者ミーミルが守る「ミーミルの泉」へやってきます。この泉の水を一口飲むと、誰よりも賢くなれるのです。ミーミルの御利益ですかね。
ミーミルは水をあげる代わりに、片目を渡すように要求。いったい、目玉をもらって何の得があるのでしょうか?ミーミル、もしかして首だけで何千年も生きなくっちゃならなくなった復讐がしたかったのかも……。
オーディンは片目をズボッとぬいて、それをミーミルにの泉にポチャッ。このときから、オーディンは片目になったのです。
オーディン、吊るされてルーン文字を発明する
「もっと賢くなりたい」と切望するオーディン。世界樹のトネリコ、ユグドラシルに自らを吊るしました。なんだかアヤシイ宗教みたいですが、自分自身を「いけにえ」にして、知恵を授かるよう祈ったのです。
トネリコの御利益はてきめん!九日間飲まず食わずでぶら下がって、オーディンは「ルーン文字」を獲得!九日間も水がなかったらフツー死んじゃいますが、神様なのでOK。
このルーン文字とは古代北欧で使われていた魔法の文字です。この文字を駆使してオーディンは魔術の神になりました。
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オーディン、詩の蜜酒をゲット
スッツングという巨人が、「詩の蜜酒」というお宝を持ってました。これは「一口でも飲んだら最高の詩人になれる」というレアアイテムで、スッツングはこの酒をバカでかい壺三つ分、山の中の砦にしまい込んでいたのです。
これを知ったオーディンが、黙ってるはずありません!「よし!盗もう!」と即断!
「詩の蜜酒」を毎日見張ってるのは、スッツングの娘グンレズだということを、あらかじめリサーチしておいたオーディン。超ハンサム巨人に化けてグンレズをたらしこみます。
毎日、退屈な見張り番をやらされてウンザリしてたグンレズ、降ってわいたイイ男に撃沈。秒でベッドに入れて楽しみまくり、「これあげる!」と蜜酒を渡してしまったのでした。
「じゃあ、三口ちょうだい」
と、ニヤニヤ笑って答えたオーディンは、なんと三口で三つの壺を空にして、そのままトンズラしちゃったのでした。つくづくサイテーです。
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トールの遠征。ビビりまくる巨人たち
あちこち旅をしてるのはオーディンだけじゃありません。北欧神話の大人気キャラ、トールも旅をしてます!
トールはオーディンの息子で、怪力で陽気。いつも無敵のハンマーミョルニルを片手に、巨人たちと戦ってるのです。
このトールのハンマーは、今でも北欧の人気アイテム。よく魔よけのアクセサリーに使われてますよ。
トール対巨人の有名な戦いは3つあります!
ウドガルド・ロキとの知恵比べ
ロキと一緒にヨーツンヘイムへ遠征に行ったトール。ウドガルド・ロキという巨人の王の城へたどり着きます。
このウドガルド・ロキは力ではトールにかなわんと見て、短距離走、飲み比べ、大食い選手権、力比べの四種目を提案。ウドガルド・ロキはいずれも魔法を駆使してイカサマします。
怪力だけど馬鹿正直で騙されやすいトール。まんまと引っかかって、全部騙されるのですが、ウドガルド・ロキはイカサマしてもかなりきわどいところまで追いつめれて肝を冷やしたのでした。
ヒュミルから大釜をぶんどる
ビールを作る大釜を持っていなかった神々。「巨人のヒュミルのところに手ごろな大釜があるぜ」と聞いて、すぐさまその気に。「よし!トールがんばれ!取ってきて!」とトールに声援を送り、トールがぶんどりに行きます。自分たちで大釜を作る気もなければ、ヒュミルに金払う気もありません。ぶっちゃけ強盗です!
大食い、釣り、力技の三種目でトールが勝利。まんまとヒュミルから大釜をせしめました。
フルングニルとの決闘
いきなりアポなしでアースガルドへやってきて、オーディンとケンカした巨人フルングニル。ケンカした挙句、ビールをがぶ飲みして悪酔いしたので、トールはカンカンに。フルングニルとトールが日を改めて勝負することになりました。
巨人たちはフルングニルだけでは勝てないと思ったので、粘土で超巨大ロボみたいな巨人を作成。しかし、トールのミョルニルは無敵だったので、フルングニルも粘土巨人もあっさり殺されたのでした。
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【北欧神話のあらすじ】トールがミョルニルを紛失!必死に助けるロキ
ロキの最悪な子供たちを勝手に処分したオーディン
アースガルドの城壁づくりや、オーディンやトールの旅でたびたび活躍してるロキは、結構子だくさんです。もとが巨人で、しかも悪知恵の働くロキなので、子どももトンデモナイのばっかり産まれます。
オーディンはロキのことは気に入っていましたが、子供たちは将来ろくでなしになると考えて、無断で勝手に処分してしまいました。
<【北欧神話のあらすじ】ロキの3人の子供たち。その悲惨な運命!/a>
フェンリル狼
ロキは人型ですが、子供のフェンリルは狼です。しかも怪力でどんどん巨大化していくので、神々は「やばい」と感じ、フェンリルをぐるぐる巻きにして身動きできないように封印してしまいました。
ミッドガルド蛇
これも人型ではありませんね。ロキの子は人間の形をしていないのばっかりです。ミッドガルド蛇はずんずん巨大化していく大蛇で、オーディンは「ヤバい」と直感するなり、蛇を海にポイ捨て!海底深く沈んだミッドガルド蛇はそこでどんどん大きくなって、とうとう世界をぐるっと一巻きにする大きさに。自分の頭がしっぽに届くようになったので、毎日しっぽをハムハムしてます。(ミッドガルドをぐるり一周してるから、ミッドガルド蛇といいます)
冥界の女王ヘル
ヘルは人型です。ですが、上半身は普通の女性で、下半身は腐り果てた姿でした。オーディンはヘルを一目見るなり「お前はアースガルドに住んじゃダメ」と決定。
ヘルもやっぱり、アースガルドから冥界にポイッと突き落とされて、冥界の女王になりました。
名馬スレイプニル
スレイプニルも人型じゃありません。馬です。ただ、上の三人(三匹?)とはちょっと事情が違います。このスレイプニルは、アースガルドの城壁づくりの時、ロキが雌馬に化けてたぶらかした巨人の馬との間に生まれた子供なのです。つまり、フェンリル狼とミッドガルド蛇とヘルの時は、ロキはお父さん。スレイプニルの時はお母さんというわけで、かなり複雑……。
スレイプニルはお父さん馬が働き者だったせいか、スーパー名馬。足が八本あって、世界で一番速く走る馬でした。オーディンもこのスレイプニルのことは心底気に入って、自分の愛馬にしたのでした。
……ほかの子供らはポイ捨てしたりぐるぐる巻きにしたりしたくせに、スレイプニルはこき使うって……。オーディン、どんだけ身勝手なんでしょうか……。
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ロキ、光の神バルドルを殺害!
ここまで、北欧神話はわりと平和(?)ですが、ここからはガンガン悲劇に突入します!
光の神バルドルは、オーディンと正妻のフリッグの間に産まれた神で、神々はもちろん、巨人からすら好かれる存在でした。
ただロキだけは、バルドルの存在が面白くありません。ロキはバルドルへの害意を固めていきます。なんでロキがバルドルを嫌ってるかは、これまた神話のどこにも書いてないので謎なんですが……。ロキはかなり屈折した性格なので、性格がキレイすぎるバルドルが嫌いだったのかも?
バルドル、変な夢を見る
ある日、バルドルは悪夢にうなされます。光の神は悪や不安と無縁だったので、オーディンとフリッグはひどく心配します。
フリッグ、バルドルを不死にする
母のフリッグは心配性です。世界中あらゆるものに頼み込んで「バルドルを傷つけてはならない」と約束させます。石も武器も病気も約束しますが、ただ一つ、小さいヤドリギだけはまだ幼かったので約束していませんでした。
ロキ、ホズを騙してバルドル殺害
バルドル殺害を決意したロキ。たくみに女に化けてフリッグからヤドリギのことを聞き出します。そしてロキはヤドリギを切って持ってくると、盲目の神ホズに渡したのです。
「これを向こうに投げてごらん」
と言われて、ホズは馬鹿正直に投げちゃいます!ヤドリギはバルドルに命中。バルドルはヤドリギが深く胸に刺さって死んでしまったのでした。
バルドルの葬式。利用されただけのホズは殺害される
バルドルの葬儀は盛大なもので、巨人までも参加しました。
ロキに利用されたホズは無実だったのに、「直接手を下したのはお前だろ」と殺されます。完全にとばっちりです。可哀想すぎるホズでした。
ロキの捕縛
さて、今まで神々の味方で、何かと活躍してきたロキですが、バルドルを殺して、ついに殺人犯に!ロキは神々と絶縁することを宣言します。
ロキの口論
バルドルを殺した張本人のロキ。神々が集まっている宴会に乗り込んで、手あたり次第に神々を罵倒しまくります。
オーディンに向かって「たくさんだ、オーディン!あんたは一度だって公平だったことはないんだ!」とか、フレイヤに向かって「お前ほどの売女はいない!お前は実の兄とも寝たじゃないか!」などと、マシンガンのように罵倒!トールがロキを抑えようとすると、ロキはいずこともなく姿を消したのでした。
この時、ロキが罵倒しなかった神はトールだけです。「あんただけは別だよ」と笑って退散しました。今まで何度も一緒に旅行したり、館に遊びに行ったりしていたし、トールのことだけは好きだったようです。
ちなみに、この絵のロキは目が赤いですが、神話によるとロキの目は万華鏡のようにチラチラと色が変わったそうです(めんどいから全部赤にしました)。
ロキ、捕まって拷問にかけられる
ロキは神々から逃げ、鮭に変身してのがれようとします。しかし、トールに見つかってついに捕まってしまいました。
トールも今まで友達付き合いしていたロキのことは気に入っていたのでしょうが、自分の弟にあたるバルドルを殺されたわけですから、友情も終わってしまったのかも……?
ロキは洞窟に閉じこめられ、縛られたまま顔に毒薬を延々と浴びせられるという拷問にかけられます。
ロキも、ロキの三人の子供たちも、みんな閉じ込められてしまったわけです……。終焉の日ラグナロクによって解放されるまで、ずっと拷問は続くのです。かわいそうに!
ヴァルキューレをこき使うオーディン
あらゆる知恵を得て、ラグナロクで世界が終わるという予言を得たオーディンはさらに不安にあおられるようになります。なんとか終末を避けようとしてあちこちさまよい、知恵や戦力を得ようとします。
オーディン、女に手を付けまくる
優秀な子供を作って味方にするため、とにかく女に手を付けまくります。目的のためなら、何人女性を犠牲にしても平気です!
オーディン、ヴァルキューレを使ってエインヘイヤルを集める
ヴァルキューレはオーディンの直属部下ともいうべき特殊部隊です。全員女戦士で、天を駆ける馬に乗って、戦場で死んだ戦士たち(エインヘイヤル)を拾い集め、アースガルドのオーディンの城へ連れていきます。
オーディンはエインヘイヤルたちをラグナロクのときの戦力にするために、手あたり次第に集めます。とにかく戦力が欲しいので、中には「こいつ強いからアースガルドに連れて行こう」と、死ぬはずじゃなかった人まで連れて行ってしまいます。酷すぎですね……。
ヴァルキューレはオーディンのパシリ!忙しい女神の仕事を詳しく解説
ラグナロク到来!あっさり死んだオーディン
ついにラグナロク!神々と巨人族、最後の戦いです!ここで、バッタバッタと神々は死んじゃいます。
巨人たち挙兵!解き放たれたロキと子供たち
ラグナロクが来たので、「今だぞ!」と巨人たちがアースガルドを目指します。
太陽と月も天から落ち、星もばらばらと落ちていきます。地上はこれまでにない寒さに覆われ、人間も小人も絶滅。
今まで封印されていたロキや子供たちも解放されます!親子そろってお出ましです。
どんどん死んでいく神々。オーディン、フェンリルに食われる
巨人たちとの戦いで、神々は次々に死んでいきます。
オーディンも、積年の恨みが積もり積もったフェンリル狼にパクっと食べられてしまいます。
トールやフレイや、ロキ、ヘイムダル、ミッドガルド蛇、その他大勢も相討ちして死んでしまいます。
スルト爆発。世界滅亡
最後は炎の巨人スルトが大暴れ。このスルト、「ラグナロクになったら世界を炎で焼き尽くす」という宿命を持っていた巨人で、そのために世界の始まりからず~っと「炎の国」に座り込んで待ってたのです。ぶっちゃけ、これしか仕事がないので、今までずっとやることなくてストレスためてました。
長年、ヒマすぎたスルトの反動はすさまじいです!スルトは炎の剣を振り回して、世界を一気に滅亡させます!世界樹ユグドラシルはあっけなく燃えちゃいます。世界はまるごと海に沈んでしまったのでした。
世界再浮上
その後、大地は火の鳥のように復活。海からまた浮かび上がって、豊かな緑に包まれたのでした。
生き延びた神々
どこからともなく、ラグナロクを生き延びた数少ない神々が再結集。「いや~、大変だったね~」と語り合って終わるのでした。
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