【北欧神話】ヘイムダルは神々の番人!実は人類の祖先でもある

北欧神話でよく名前の出てくる神、ヘイムダル。

でも、ヘイムダルがどんな神であるかは、あまり知られていないようです。それというのも、ヘイムダルが大活躍して主役を張る神話は、「リーグの歌」くらいなもので、他は脇役として顔を出す程度……。つまり、ヘイムダルは「超名わき役」で、彼が主役になることはほとんどないのです。

ですが、ヘイムダルは北欧神話にとってなくてはならない重要キャラ。しかも、彼こそは我ら人類の祖先と言われています。

ここでは、ヘイムダルのキャラクター、出てくる神話などを徹敵的に解説します!

ヘイムダルの人生(?)まとめ

ヘイムダルは神々の神オーディンと、九人の波の乙女との間に産まれた神です。つまりお母さんが九人いるということに……。どうやって産まれたのか謎ですが、これは神ワザなので突っ込み禁止のこと。

その姿は、真っ白い肌に金の歯を持っていて神々の中で最も美しかったと言います。別名、「白いアース」と呼ばれています。耳は草木の成長する音を聞き、目は昼夜問わず百マイル先まで見通せました。そのため、ヘイムダルは神々から「見張り番」の役目を負わされました。巨人がいつ襲ってくるか見張るため、神々の国アースガルドと、大地をつなぐ虹の橋ビフロストの端に座っているのです。

ヘイムダルはギャラルホルンという角笛を持っていて、これは、神々と巨人族との最後の戦い「ラグナロク」がやって来た時に、吹き鳴らすためのものなのです。そしてついにラグナロクが訪れたとき、ヘイムダルは角笛を吹き鳴らし、その音は世界中に響き渡りました。

ヘイムダルは最後、巨人族の長であるロキと戦い、相打ちになって死んでしまいました。

ヘイムダルの能力

ヘイムダルは他の神々にはない、特殊な能力を持っています!

〇素晴らしい張力の持ち主。草の伸びていく音、羊の毛が伸びていく音を聞くことができる。
〇昼も夜も、百リーグ(一リーグが三マイル)も離れたところの微かな動きさえ見ることができる。
〇鳥よりも少ない眠りで足りる。

一説によると、この威力は片耳をミーミルの泉(賢者ミーミルの首がいる泉)に捧げて、その代償にもらったと言います。

ヘイムダルが出てくるお話

ヘイムダルが登場する話はたくさんあります(ほとんど主役じゃないけど)。ここでは代表的なものを紹介します。

リーグの歌

あるとき、ヘイムダルはギャラルホルンをビフロストのたもとに置いて、「リーグ」と名乗って人間の世界ミッドガルドを旅しました。

その途中、ヘイムダルは「貧しい家」「普通の家」「とってもお金持ち」の三軒の家を訪ね、そこの若い夫婦に子宝を恵みます。彼らの子孫が、その後「奴隷」「農民」「王侯」となったのです。

ヘイムダルは王侯となった子供ヤルルに、特別な祝福を与えました。彼にルーン文字と知恵を与え、「お前に教えてやることがもう一つある。我が子よ、お前はわたしの息子なのだ。さあ、国土を勝ち得、偉大な古い時代の館を勝ち得て、今こそ軍勢を指揮するときだぞ」と言ったのです。

このことから、ヘイムダルは人間の祖先であると言われています。「エッダ」の「巫女の予言」も、

「すべての貴い氏族、身分の高下を問わず、ヘイムダルの子らによく聴いてもらいたい」

という出だしから始まります。

ロキと争う

どうしてかは不明ですが、ヘイムダルはロキと宿敵同士です。

あるとき、女神フレイヤ(最も美しくて、大変自己中な神)のブリーシングの首飾りを、ロキが盗みました。ヘイムダルは首飾りを取り戻すため、ロキと争います。彼らはアザラシの姿になって海に飛び込み、壮絶な戦いの末、ヘイムダルが首飾りを取り戻したとされています。

スリュムの歌

あるとき、トールが目を覚ました時、彼の武器ミョルニル(最強のハンマー)が巨人のスリュムに盗まれてなくなっていました。

ロキがスリュムのところへ行って「ハンマーはお前が盗んだのかね」と尋ねると、スリュムは「フレイヤをおれの花嫁にすれば返そう」と言います。

フレイヤはもちろん怒り狂って拒否。ここで、ヘイムダルが知恵を出します。

「トールをくるみましょう。そう、トールを花嫁のヴェールでくるむんです。ブリーシングの首飾りを彼の首にしっかり留めましょう。あらゆる花嫁にふさわしいように、彼は美しく装わなければなりません。腰にはジャラジャラ鳴る鍵の束がぶら下がっていなければなりません。そして長い衣装を着せなければなりません。わたしたちは精巧な作りのブローチを、彼の胸に留めることを忘れてはいけません」

平たく言えば、「女装させましょう」ということですが、これに神々は爆笑。トールはしかめ面。でも結局、トールは女装してスリュムのところへ行き、まんまとミョルニルくを取り戻しました。

ロキの口論

ロキがアース神と対立して、最後にアース神に悪口を浴びせかけた時のことです。ロキはもちろんヘイムダルにも悪口を浴びせます。

ヘイムダル「ロキ、酔っぱらったな。こんなに正気を失うとは。なぜよさないのだ、ロキ。飲みすぎると、誰しも自分の言葉が分からなくなるものだが」

ロキ「黙れ、ヘイムダル。お前は昔、酷い暮らしをさせられたくせに。いつも背中を濡らして、神々の見張り番をして目を覚ましておかねばならなかったろ」

このロキのセリフは、ヘイムダルの「神々の番人」という役目が、ヘイムダルにとっても相当に重荷だったことを知る手がかりです。

この番人の役目を果たすために、ヘイムダルはミーミルに片耳を捧げ、超人的な視力や聴力などを身につけたのではないかという説があります。

ラグナロク

いよいよラグナロクが始まった時、ヘイムダルは戦いを知らせるギャラルホルンを吹き鳴らします。この角笛の音は九つの世界に響き渡り、すべての神々やエインヘイヤルたち(死んだ英雄たち)が、アースガルドから駆け下りていきました。

ヘイムダルも戦いに参戦します。そして、ロキと壮絶な戦いを繰り広げ、相打ちになって果てたのでした。

ヘイムダルお勧めの本

これはお勧めです!子供向けの本ですが、かなりの読み応え。

この中に、ヘイムダルと、フレイヤの娘フノッサの物語が載っています。わたしはこのエピソードを、他の作品で見たことがありません。

まだ非常に幼い少女の神フノッサが、毎日ビフロストに座っているヘイムダルのところへ行き、昔話を聞かせてもらうという、なんとも心温まる物語。

「フノッサは、大門から外へ出て、虹の橋の番人ヘイムダルのそばにいるのがすきでした。(略)フノッサが、毎日のように、ヘイムダルのそばにいたので、ヘイムダルは、万物がどうしてできたかという、ものごとの始まりの話を、小さいフノッサにして聞かせてやりました。ヘイムダルは、夜の始まりから生きていましたから、どんなことでも知っていたのです」

北欧神話はかなりドロドロと惨たらしい話が多いですが、そうした物語の中に、こんなエピソードがあると、とても印象に残りますね。

ヘイムダルのアイテム

ヘイムダルは番人なので、あまり持ち物はありません。

ギャラルホルン

ラグナロクに鳴らす角笛だよ。

ヒミンビョルグ

ヘイムダルのおうち。ビフロストの側にあるよ。

グルトップ

ヘイムダルの頭

ヘンな名前だけど、剣のことだよ。

ヘイムダルの関係者

特に関係の深い神や人間を紹介します。

オーディン

お父さんだよ。

九人の波の乙女

お母さん。九人もいるよ。

ロキ

ヘイムダルはこいつ大っ嫌い。ラグナロクで殺し合いするよ。

アーイとエッダ

貧乏な人間。「リーグの歌」で、家に泊めてもらった。奴隷の祖先スレールが生まれる。

アヴィとアンマ

中産階級の人間。「リーグの歌」で、家に泊めてもらった。農民の祖先カルルが生まれる

ファジルとモージル

とってもお金持ちの人間。「リーグの歌」で家に泊めてもらった。王侯の祖先ヤルルが生まれる。

まとめ

長文失礼しました。

ヘイムダルは何かと活躍しますが、これといった物語が乏しいのが残念なところ。ギリシャ神話のヘルメスにちょっと似たところがあります。

でも、ヘイムダルは北欧神話に欠かせない重要キャラです。美形で世話好き、何でも知ってる。彼の人気は不滅ですね!

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