【北欧神話のあらすじ】アース神VSヴァン神!勝つのはどっちだ!

オーディンが世界を創造して、神々がアースガルドに住むようになってしばらくの間、世界は「黄金時代」と呼ばれる平和な時代を過ごしていました。
でも、ある時、黄金時代は突然終わってしまいます。一人の魔女が現れて、世界は欲望と戦いと悪にまみれてしまうのです!
大変悲しいことではありますが……でも、神話はここから本格的に面白くなっていくぞ!
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【北欧神話のあらすじ】神々の王オーディン、世界を創造する
黄金時代、とっても平和だった神々
オーディンをはじめとする神々。彼らは「アシール(アース神族)」と呼ばれているので、彼らの国はアースガルドと呼ばれています。
彼らはアースガルドの城で、大変のんびり暮らしていました。
世界には大した争いなんてなかったので、アースガルドを囲んでいるのは木柵にすぎなかったし、神々はその中で安心しきって歩き回っていました。
彼らが明るい髪に装飾品をつけると、髪や飾りが光り輝いて全世界を照らしました。また、彼らは将棋盤(チェスみたいな奴)で遊ぶのが好きでしたが、彼らが遊びながら笑うと、空も海も陸も喜びで溢れるのでした。
彼らは身に着けている飾りや、使っている金の皿は、黄金を叩いただけの簡単なシロモノでしたが、神々はそれで十分満足してたのです。
魔女グルヴェイグ登場。黄金で争いを引き起こす
が、そこへ!突然戦いと殺戮の知らせが飛び込んできます。ミッドガルドの人間たちが、狂ったように戦いを始めたのです。
「一体何が起こったんだ!今まで平和に暮らしてたのに!」
神々はびっくりして調べてみて、それがグルヴェイグ(黄金の道という意味)という一人の魔女によって引き起こされたことが分りました。
彼女が何者で、どこから来たか、誰も知りません。
彼女は突然ミッドガルドにやってきて、人間たちに莫大な黄金を与えたのです。
それまで、人間たちも質素な生活をしていて、鉄や細い指輪くらいしかもっていませんでした。ですから、初めて豪華な黄金の指輪や腕輪、首飾りを見た人間たちは、強烈な欲望のとりことなってしまったのです!
黄金の腕輪や指輪を身に着けたい。他の人間よりもっとたくさん所有したい。自分だけのものにしたい。という独占欲が人間たちの中に生まれ、世界で最初の戦いが起こったのでした。
アース神は戦いをやめさせようと、グルヴェイグの元へ行きます。ところがグルヴェイグは
「余ってる財宝を分けて何が悪い。鉄しか知らない人間たちに、黄金の喜びを与えてるだけだ」
と、耳を貸しません。それどころかグルヴェイグは、アース神たちにまで黄金をまきちらして、黄金のとりこにしてやろうとしたのです。
さて、神様たちは始めこそ「そんな手に乗るか」と思ってましたが……。ちゃちい飾りや皿しか持ってなかったアース神たち、グルヴェイグのすばらしい装飾品に、次第にグラグラと心が揺れます。
ことに首飾りや指輪にヨワイのは女神たちです。今まで見たことないほど美しい飾りに、目を輝かせるようになってしまいました。
そこで、「これじゃダメだ!」と勇気を奮い立たせた神々、グルヴェイグを殺害する決心をしました。
アース神がグルヴェイグを捕らえる
黄金への欲望を、神々にまで押し付けようとした魔女グルヴェイグ。神々はついに、彼女を滅ぼすことにします。
グルヴェイグを槍で突き刺し、火の中に投げ捨てたのです。
ところが!さすがは魔女です。グルヴェイグは「やあやあ」と、平気な顔して火の中から出てきました。
慌てた神々は、三度もグルヴェイグを火に放り込みます。けれども三度とも魔女はケロッとして出てくるのです。
よみがえるたび、しつこく黄金の魅力を神々に説いて回るグルヴェイグ。魔女を何とかして滅ぼそうとする神々ですが、黄金への欲望はそのうち神々の中にもこびりついて離れなくなってしまいました。
ところで、この頃になってようやくグルヴェイグの正体がアース神たちにも分かってきました。
グルヴェイグはアースとは別の、ヴァン神という親族のグループの、ひじょ~に権力ある魔女だったのです。
グルヴェイグが三回も殺されかかったことを知った、ヴァン神たちの怒りはすさまじいです。
「何!オレたちのダチをそんな目に遭わせやがって!許せん!金払え!」
ヴァン神たちはアース神を責めたて、アース神はぶつくさ言いながら彼らに賠償金を支払います。
しかし、ヴァン神は
「少ねえな~。もっと出せよ。グルヴェイグ何回も殺されたんだし」
と、満足しません。……考えてみれば、ただで黄金をバラまいてたグルヴェイグの一族です!半端な額では納得しないのかも。
アース神とヴァン神の戦い
これっぽっちの賠償金じゃダメ!と言われたオーディン、とうとう開戦を覚悟して、神々を呼び集めます。
「我らはヴァン神に賠償金を払った。しかし、彼らは満足しない。もう戦争だ!」
光の神バルドルや女神たちは、
「世界樹ユグドラシルにみんな集まって、和解すればいいじゃん」
と言いましたが、オーディンは引きません。
「ここで我々が引いたら、あいつら調子に乗って、次はもっと厄介なことを言ってくるぞ。ここは戦わなきゃダメだ!」
戦いの神チュール、千里眼の神ヘイムダル、そして怪力の神トール、火の神(巨人)ロキがオーディンの意見に賛成。
こうして、神々は戦いを決意したのです。オーディンは、無敵の槍グングニルをヴァン神に向けて投げました。
アース神とヴァン神は、アースガルドの近くで衝突しました。アース神はヴァン神の土地になだれ込んで、その土地を荒廃させてしまいます。ヴァン神もアースガルドに突撃。魔法を駆使して、城壁を打ち破ってしまいました。(当時はただの木柵だし)
どちらも大変な勢力だったので、戦いは長引きました。アース神はトール、チュール、オーディンなど怪力の神が揃っているし、ヴァン神は魔術に長けているので、力が拮抗して勝負がつかないのです。
やがて、神々は戦うことに疲れていきました。話し合いをして、休戦したほうがいいと気づいたのです。
そこで、アース神とヴァン神は平和条約を結ぶことにします。両者とも人質を差し出し、お互い平和のうちに暮らす、という誓いを立てたのです。
人質の交換。麗しのフレイヤ、賢者ミーミル
ヴァン神は海の神ニヨルドと、その息子フレイ、娘のフレイヤをアース神たちに差し出します。
実はこのフレイとフレイヤ兄妹、ニヨルドが実の妹との間に作った子供なので、アース神たちはぶっちゃけ
「サイテーな奴らだなー」
と、思ってました。
でも、実際フレイヤを見ると、アース神たちの不満は一瞬で鎮火。フレイヤはあまりにも美女過ぎたので、全員夢中になっちゃったのでした。
アース神からは、ヘーニルと賢者ミーミルを送りました。ヘーニルという名はここで初めて出てきますが、はっきり言ってこいつはイケメンなだけのバカです。
実際に知恵を出したり助言をしたりしたのは、賢者ミーミルのほうでした。ですから、ミーミルが側にいないときに何か相談を持ち掛けられると、ヘーニルはおどおどして「それは他の人が決めてください」と言うのでした。
やがて、ヴァン神は
「あいつら騙しやがって!こいつ、見た目だけのクズじゃん!」
と、怒り出します。ブチ切れたヴァン神たちは、賢者ミーミルの首を切り落として、それをアースガルドに送ったのです。
オーディンは、ミーミルの首を見ても、平然としてました。
彼はミーミルの首が腐らないよう薬草を塗り、まじないを唱えて話す力を与えました。
このミーミルはアースガルドにいた時、ユグドラシルの根元に沸く「知恵の泉」の守護者だったのですが、オーディンはミーミルの首をこの泉に移動。
「お前はこれからわしの相談役だからな。聞かれたことには何でも答えろよ」
こうしたわけで、ミーミルの知恵はすべてオーディンのものになったのです。
で、その後キレてたヴァン神がどうなったかと言いますと……。
実はニヨルドとフレイ、フレイヤたちは、ヴァン神たちのリーダーでした。リーダーがアース神になったので、その後徐々にヴァン神たちはアースの中に吸収。長い年月の間に、ヴァン神たちはみんなアース神になっちゃったのでした。(超バカっぽい)
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