パリスはトロイア戦争一のカス!カスぶりを徹底解説

2020年7月17日

トロイア戦争の引き金となった男、パリス!

しかし、こんな重要キャラでありながら、パリスは最低最悪なカスとして、その名を知らない欧米人はいません。あまりにもダメすぎて歴史を変えてしまうほど!英雄たちの人生を振り回し、ついには神々までも翻弄するミラクルさ。彼こそはギリシャ神話に堂々と君臨するダメ男なのです!

ここでは、パリスのすがすがしいまでのカスレベルを、徹底的に解説します!

パリスってこんな人生

パリスはトロイアの王子として産まれました。が、その人生はなかなかに波乱万丈です。

パリス、女神を怒らせる

産まれたその瞬間に姉のカッサンドラが(この人、予言の能力を持ってる)「この子をすぐに殺して!この子はトロイアを滅ぼすわ」

このとき、本当に殺せば問題なかったのですが、山に捨てられただけで済みました。羊飼いに拾われてのうのうと生き延びることに。

運命が変わったのは、若者になったある日のこと。突如!目の前に神々が出現!大神ゼウスが「この三人の女神の中で、誰が一番美しいか判定せよ」と命令したのです。

権力の女神ヘラ「わたしを選んだら大金持ちにしてあげるわ」

勝利の女神アテナ「どんな戦にも勝てる男にしてあげるわ」

美の女神アフロディテ「世界一の美女をあげるわ」

パリス、あんまり迷いません。「じゃあ、世界一の美女をください」と、のほほんとアフロディテを選ぶのです。しかもこのとき、パリスは残りの二人の女神を「全然タイプじゃないよ」とこきおろし。ヘラとアテナは激怒。この二人の女神は「許せないわ。パリスのトロイアを滅ぼしてやる!」と決意。

パリス、人妻をかっぱらう

いろいろあって、トロイアへ王子として復帰したパリス。オイノネという美人を嫁にもらったくせに、「世界一の美女はオレのもんさ」とスパルタへ行き、まんまと世界一の美女で王妃のヘレネを略奪。

妻をパクられたスパルタ王メネラオスは悲憤慷慨。「断じて許せん!戦争だ!」と、こうしてトロイア戦争が勃発したのでした。

ですが、カスのパリス、自分のせいで祖国が危機に陥ったのに全然反省しません。しかも戦いません。戦に出て戦うのは全部兄のヘクトルに丸投げ。自分はひたすらヘレネとイチャイチャ……。

パリス、アキレウスを倒す

そうこうしてる間に、ヘクトルはギリシャの最強の戦士アキレウスに殺されてしまいます。アキレウスは勝ちに乗じて、ついにトロイアの城へ突っ込んできました。

「このままではヘレネをとられてしまう!」

とさすがに慌てたパリス。アキレウスを倒さなければ……とおたおたします。すると運のいいことに神アポロンが出現。神様に手伝ってもらって、アキレウスを倒しました。

パリス、元妻に見捨てられる

しかし、とうとうパリスも年貢の納め時。ヘクトル亡き後、仕方がないので戦に出ましたが、もともとへなちょこに弱いのであっという間に大怪我を負います。

パリスを助けられるのは、元奥さんのオイノネだけ。彼女は医学の秘術を受け継いでいたのでした。

「助けてくれえ!」

と泣きついたパリスですが、浮気されて完全にキレていたオイノネは冷たい。

「ふざけないで!勝手に死んだらいいのよ!」

と見捨てます。こうして、パリスは死んじゃったのでした。

パリスってこういう性格

彼の人生を読めばお分りでしょうが、とにかく彼は情けない男です。人妻を勝手にさらう。自分のせいで戦争が起こってもケロリ。悪いことして、罪悪感のかけらもありません。

しかも、全然働きません。王子のくせに(羊飼いとして育ちましたが)戦おうとせず、堂々と全部兄さんに丸投げ。ヘクトルもこれには怒ってます。そして、戦わないでヘレネと愛し合ってるだけ。怠ける上にこの態度!厚顔無礼とはまさにこのこと!

彼の唯一の取柄は見た目でした。超ド級の美形だったらしく、「神のごとき容姿」と言われてます。ところが……彼はこの見た目を完全に鼻にかけてました。いつも自分の巻き毛が崩れてないか気にかけていて、足元が汚れるのを嫌がって、誇りっぽいところは歩かない。男らしさを微塵も持ってません!

これほどカスな男は歴史上稀な存在でしょう!

パリスのカスエピソード、3選!

彼のカス度を伝えるエピソードは枚挙にいとまがありません。ここでは、厳選して三つ紹介します。

父の命令無視!人妻を拉致

パリスが王子に復帰したときのことです。父のプリアモス王がパリスに最初のお仕事を頼みます。

「わしの姉がスパルタにいるのだが、どうしているか心配だ。もし暮らしに困っているようだったら連れて帰るように」

ところがパリス、「スパルタには世界一の美女と有名なヘレネがいる。よし!さらって妻にするぞ!」とトンデモナイ決意。はじめっから、父の言葉なんて聞いてません。

スパルタへ行ったパリスは思いっきりおめかしして、ヘレネの館へ向かいます。このときの彼の様子は、

「それからパリスは、清らかな川で水浴びし、自分の足跡を踏んで逆戻りした。魅力的な足が誇りで汚れないように、また、よけいに急いで、帽子におそいかかる風が巻き毛の髪を乱さないように、用心したのである」(「ヘレネー誘拐・トロイア落城」に書いてあるよ)

と書いてあります。カスですね……。

それからパリスはまっすぐヘレネのところへ行って「さあ、結婚しよう!」と口説きます。父が命令した「姉を連れて帰るように」ということなんか、まるっきり念頭にありませんね。

散々口説いて、ついにヘレネをゲット。ヘレネの夫、スパルタ王メネラオスが怒るだろうことなんて、ちっとも考えてません。しかもヘレネだけじゃなく、財宝までたんまりとパクって逃げたのでした。ドロボーよりタチが悪いですね……。

これぞカス!戦を放棄してイチャイチャ

トロイア戦争まっさかり中のことです。ヘレネをパクられたメネラオスが、「ふざけやがって、あの青二才!ぶった切ってやる!」と、怒り心頭でやってきます。

そのメネラオスを見ただけでビビったパリス。「ひー、殺される」と逃げ出したあげく、トロイアの兵士たちの間に隠れます。勇気のかけらもありません。

これを見た兄ヘクトルは大激怒。このときのヘクトルのセリフがなかなかに名言。

「このろくでなしのパリスめが!いかにもお前は姿形でこそ誰にも引けを取らぬが、その正体は色気狂いの女たらし。お前など産まれてこねばよかったのだ。妻も娶らずに死ねばよかったのだ。わたしは心からそう思うぞ!

ギリシャ勢も、お前の美貌に欺かれて勇者と思ったのだろうが、その実、腹の中は空っぽで、勇気も力もないと知れば大声立てて笑うに違いない。メネラオスに立ち向かう勇気がお前にはないのか!討たれて死んだら、神々から賜ったお前の美しい髪も美貌も何の役にも立つまい!」

こうまで言われて、ようやくパリスはメネラオスと一騎打ちすることにするのですが……。「ひゃあ、殺されるよう」と逃げ回り、女神アフロディテに助けられて城の中へ逃げ込みます。一騎打ちからスタコラ逃亡されて、メネラオスはいい面の皮です……。

まんまと逃げたパリス、ヘレネのところへ行って「さあ、愛し合おう」とニヤニヤ。これには、さすがのヘレネもあきれ果てます。

「わたしの夫であった、あの強い男に討たれて、そのまま死んでしまえばよかったのに……」

とまで言います。でもパリスは完全無視。「まあ、そんなこと言わないでくれ。早く床入りして楽しもうじゃないか」と、さっさとベッドに向かうのでした。

捨てた女に泣きつき!カス、ここに極まれり!

頼みの兄、ヘクトルが死んでしまった後、パリスはしぶしぶ戦場に出ますが、ピロクテテスという弓の名人に倒されてしまいます。

重傷を負ったパリス、必死の意思の手当ても虚しく、治る見込みはありません。

「これを治せるのは、元奥さんのオイノネだけですね」

と言われます。オイノネはヘレネをさらう前の奥さんで、ヘレネを手に入れた後、アッサリ捨てたきりだったのです。本来なら顔を合わせられないはずですが、パリスは恥なんて持ち合わせてないので、すぐにオイノネのところへ向かいます。

「助けてくれ」というパリスですが、オイノネは怒り心頭です。

「あら、ヘレネのためにわたしを捨てたあなたが、今更何の用ですか。あなたは夫の操を守るべきだったのよ。あなたが異国の女を求めて船出したとき、わたしがどれだけ泣いたと思うの。ああ、薄情者!

ヘレネを選んだのだから、ヘレネに怪我を治してもらいなさい!ヘレネのような美女と楽しんで、幸せなことでしたね。わたしの不幸があなたに分かるものか。さあ、出ていきなさい!」

こうして、アッサリ見捨てられたパリス。天罰ですね。ヘレネの寝室にたどり着くこともできずに死んじゃったのでした。めでたし、めでたし。

パリス関係者

散々、あらゆる人に迷惑をかけまくったパリス。彼の関係者を紹介します。

プリアモス王

パリスの父。母はヘカベだよ。

ヘクトル

お兄さん。パリスのせいで死んじゃったよ。

カッサンドラ

お姉さん。「パリスを殺せ」って予言したよ。

オイノネ

元奥さん。捨てられたよ。

ヘレネ

パリスがさらった、世界一の美女。

メネラオス

奥さんをさらわれた可哀想な人。

アキレウス

あろうことかパリスに殺されたギリシャ一の戦士。

ピロクテテス

パリスを殺した勇者。

大神ゼウス

いきなりパリスの前に出て「三人の女神の内で誰が一番美しいか」と尋ねた神様。

ヘラ

権力の女神。パリスに激怒。

アテナ

勝利の女神。パリスに激怒。

アフロディテ

パリスに「一番美しい」と選ばれた女神。

アポロン

パリスに力を貸してアキレウス惨殺。

まとめ

ご精読ありがとうございました!

ここまで読んでくださった方、いかにパリスがサイテーか、お分かりいただけたと思います。ここまでカスだと、逆に気持ちいいくらいですね!パリスこそは、ギリシャ一のカス男なのです!

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