世界一分かりやすい!ケルト神話のあらすじ。アーサー王伝説編!

2020年7月21日

ケルト神話は大きく二つの場面に分けられます。

1.クーフーリンやフィン・マクールがカッコよく活躍する「アルスター、フィアナ神話編」

2.中世騎士物語として有名な「アーサー王伝説編」

しかし、このアーサー王伝説。欠点は「長すぎ!」ってことです。カッコいい話が多いのですが、とにかく「長すぎ!」「ダレる!」「このエピソードいらねーってことが多い!」なんですよね……。わたしのカンでは、大体三分の一読んでギブアップする人がほとんどかと……。

そこで、このページではそのウザいアーサー王伝説を究極に短く分かりやすくまとめてみました!アーサー王伝説で困っているすべての人のために、このページがお役に立てれば幸いです。

Wikipediaのアーサー王のページに、アーサー王や円卓の騎士たちのカッコいい映像が載ってます。興味のある方は見てね!

(アルスター・フィアナ神話編はそのうちまとめる予定です)

アーサー王誕生。魔法使いマーリン大活躍

アーサー王の父親はユーサー・ペンドラコン王、母親はイグレーヌ姫です。しかし、イグレーヌ姫は人妻だったので、ユーサー・ペンドラコン王は世界一の魔法使いマーリンの力を借りて無理矢理イグレーヌ姫を手に入れます。

魔法使いマーリン、アーサーをエクター卿に預ける

イグレーヌ姫はまもなくアーサーを出産。マーリンは待ってましたとばかりやってきて、「その子をわたしに預けてください」と連れていきます。

マーリンは信頼置ける騎士エクター卿にアーサーを丸投げ。アーサーは自分が王子だとは知らずに、エクター卿の息子として育ちました。

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アーサー王の剣。カリバーンとエクスカリバーをゲット!

エクター卿の元で大きくなったアーサー。剣を手に入れてついに王様になります!

岩に刺さったカリバーン

ユーサー・ペンドラコン王の死後、イングランドは「オレが次の王だ!」と争う騎士たちの間でバラバラに。マーリンは騎士たちを教会に集めて、おごそかに

「見なさい。ここに巨大な岩に刺さった剣、カリバーンがある。この剣を岩から引き抜いたものが次の王だ」

と宣言。みんなチャレンジしましたが、脱落しました。

「こんなもん、抜けないよ。あきらめよーぜ」とみんながあきらめたある日。少年アーサーが教会を訪れて、ひょいっと剣を抜いてしまいます。このアッサリした偉業によって、アーサーは王になったのでした。

【関連記事】聖剣カリバーン!実は何度も剣を引っこ抜かなきゃならなかったアーサー王

湖で手に入れたエクスカリバー

カリバーンを手に入れたのはいいのですが、その直後、ある騎士とのケンカでカリバーンは真っ二つに……。劇的に手に入れた割に、寿命の短い剣でした……。

剣がなくなって困ったアーサー。マーリンに泣きつくと「まあまあ、大丈夫だから!新しい剣を手に入れればいいでしょ」と慰めて、「こっちに新しいのがあるからついておいで」と、妖精の湖へ出かけます。

するとたどり着いた湖の真ん中に、腕が一本ニョキリと突き出して宝剣と鞘とベルトを握っていたのでした。アーサー、手から剣一式をもらい受けます。この剣がエクスカリバーなのです。

エクスカリバーは最高級の魔法の剣で、この剣でアーサーはあらゆる戦いを勝ち抜いていきます。また、この鞘は特別製で、持ってるだけでどんなけがをしても血が流れないという優れものなのでした。

しかし、ずっと後になってアーサーは魔女モルガンに剣と鞘を盗まれ、窮地に陥ります。

このエクスカリバーをゲットしたいきさつや、この剣の超能力、それから盗難事件にいたるまで、けっこうカッコよく書いてある本があるよ!これ、おすすめです。わたしの知っている限り、日本にある子供向けのアーサー王の絵本はこれ一冊です。

実はエクスカリバー、アマゾンで売ってます。すごいですね、さすがアマゾン。何でもあります。

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集まれ!円卓の騎士

アーサー王といえば「円卓の騎士」!

王になったアーサーは、優れた騎士をどんどん集めて「円卓の騎士」に加えます。そして、その騎士たちがイングランド中に出かけていって様々な冒険を繰り広げるのです。

「アーサー王伝説」は、アーサー自身の伝説はほとんどありません。ほとんどはこの円卓の騎士たちの冒険譚を集めたものなのです。

ここでは、円卓を彩った騎士たちとその活躍を五つ紹介します!

妃グウィネヴィアが持ってきた円卓

お嫁さんが欲しかったアーサー、美しいグウィネヴィア姫に求婚。この結婚にマーリンは

「やめたほうがいいですよ。あの女のためにあなたは不幸になるよ。美人はあの女だけじゃないんだから、よく考えたら?」(暗に浮気されるよって言ってる)

と、かき口説いたのですが、グウィネヴィアは美人だったのでアーサーの意志は固い。結局結婚することに。

この時、グウィネヴィアが嫁入り道具に持ってきたのが「円卓」だったのです。(丸いテーブル。何人も席につける)

円卓は丸いので、上座も下座もありません。アーサーはこの円卓に騎士たちを座らせて「わたしたちは兄弟だ」と語ったのです。

ランスロット

アーサー王の第一の騎士、ランスロット!

彼は「騎士の中の華」と呼ばれる、まさに最高の騎士です。腕前は円卓の騎士の中で最強。性格は潔癖で勇気があり、困っているものや弱いものがいるとすぐに助けに行きます。

育ての親は「湖の姫」ヴィヴィアン(湖の妖精)。彼女の湖の城で育ち、一人前の騎士になりました。このことからランスロットは「湖の騎士」と呼ばれます。

成長し、アーサー王に仕えることになったランスロット。しかし、彼のみに最大の悲劇が……。アーサー王の妃グウィネヴィアが、ランスロットにあらぬ思いを……。激情型のグウィネヴィア。夫がある身でありながら、部下の騎士にどんどんハマっていきます。

数々の戦いで手柄を立てるランスロット。アーサー王のおぼえもめでたく、多くの騎士から慕われますが、このグウィネヴィアの横恋慕によって破滅します。二人の関係がバレて、心ならずもアーサー王と戦うことに。この戦いで、アーサー王も破滅することになります。

トリスタン

彼の物語は、アーサー王から独立してオペラや小説、マンガでも有名ですね!

トリスタンはコーンウォールのマルク王の甥で、王に仕える騎士です。あるとき、マルク王はイゾルデ姫と結婚することが決まり、花嫁を迎えに行くようにトリスタンに命令します。イゾルデ姫を無事に船に乗せ、故郷へ向かうトリスタン。しかし、二人が楽しくチェスをしていた時です。喉が渇いた姫は棚の中にワインを見つけ、二人で飲み干しました。

姫は全く知らなかったのですが、それは姫の母親がこっそり侍女に持たせた愛の秘薬だったのです。マルク王と姫が生涯深い愛で結ばれて幸せになれるように、結婚初夜に二人に飲ませるつもりだったのでした。

思いがけず、不倫の恋に苦しむようになったトリスタンとイゾルデ。二人の関係はついに王に知られることになり、トリスタンは追放。そこをアーサー王に拾ってもらい、円卓の騎士になりましたが、恋の悩みから逃れられません。

トリスタンはその後、同じ名前のイゾルデという姫と結婚しますが、本命が忘れられません。ついに妻のイゾルデはキレます。とうとう妻にはめられてトリスタンは死亡。本命のイゾルデも後を追って死んだのでした。

トリスタンのストーリーは、吟遊詩人の美しい詩が残ってますよ。これは読み応えあります!わたしはハマりすぎて、今まで十回以上は読んだかと……。

パーシヴァル

パーシヴァルの出生はいまいちよく分かっていませんが、一説によるとペリノア王の息子で、王の死後母親が森の中でパーシヴァルを育てたとされています。

成長して騎士になったパーシヴァルはアーサー王に仕えることに。彼の最大の冒険は「聖杯探求の旅」です。

あるとき、アーサー王と騎士たちが円卓に座っていると、いきなり聖杯(イエスキリストが最後の晩餐で使ったという盃。これを持っていると幸福になれるという、キリスト教の最強のラッキーアイテム)が空中に出現。ピカーッと光ったかと思うと、また突然消滅。騎士たちは「オレが聖杯を探して、またここに持ってくる!」と、聖杯探しに旅立ったのでした。

この探求の旅に成功したのがパーシヴァル。彼は騎士として強かったかどうかはかなり怪しく、ひたすら「素直」で「ピュア」な人だったと推測されます。

パーシヴァルはとにかく強運の持ち主で、旅の途中に暴漢に襲われても、どこからともなく助っ人が現れて救済。悪魔に勧誘されて、しかも騙されるという危機に陥っても、偶然十字を切ったことで難なくスルー。(しかも二回も)

こういうラッキーが重なり、無事に聖杯をゲット。しかし、ここで一生分の不運が襲い掛かります。一緒に旅をした親友、ガラハットが、神様の意志で突然昇天。悲しみのあまり、パーシヴァルも死んじゃいました。

ガラハット

ガラハットはランスロットの息子として産まれました。その産まれは少々複雑。ランスロットはアーサー王の妃グウィネヴィアを熱愛していたのですが、「うちの娘をランスロットとくっつけたい!」と勝手に盛り上がっている王がいて、この王がランスロットに魔法の薬を飲ませました。そして頭がレロレロになっているランスロットのベッドに娘を無理やり押し込んだのです。

こうして生れたのがガラハットで、当然ですがランスロットは二度と嫁と息子のところに来ませんでした。

しかし、ガラハット自身は実に美しくて心のきれいな騎士でした。彼は円卓の騎士として聖杯探しに出かけます。旅の途中、「聖杯の騎士だけが持てる白い盾」を、白装束の騎士からプレゼントされます。この盾を使って、同じく聖杯探しをしている騎士パーシヴァルをサポート。

いろいろあって、ついに聖杯探しに成功。めでたしめでたしかと思ったのですが、ある日、聖杯にお祈りを使用と思って礼拝堂に行くと、そこには大量の天使たちが!

「お前を迎えに来たよ、ガラハット」

と天使たちは恐ろしいことをこともなげに発言。訳もなく突然、ガラハットは昇天させられてしまったのでした。

ガウェイン

ガウェインはアーサー王の姉の息子。つまりアーサー王の甥にあたります。姉には三人の息子がいるのですが、他の二人は殺されるだけの役で、どうでもいいです。

アーサー王は子供がいなかったので、よっぽどこの甥が可愛かったらしく、円卓に座るときは自分のすぐ横に座らせ、お祭りの時も傍らから離さなかったそうです。

ガウェインの最も有名な冒険は、「緑の騎士」の物語です。髪もひげも着ているものも緑づくめの騎士が、いきなりアーサー王の城キャメロットになぐりこみ。「オレの斧を貸してやるから、これでオレに一撃を加えてみろ」と言います。

言われた通りにガウェインが斧で騎士に殴りかかると、騎士は首が取れてしまい、残った体が首を拾って「一年後にオレがリベンジするぜ。ちゃんとオレのうちに来いよ、ガウェイン」と言って去ったのでした。

訳の分からない話ですが、律義なガウェインはちゃんと約束を守ります。でもいろいろあって、死なずに済んだのでした。

アーサー王がランスロットと戦い、城を留守にしたとき、騎士モルドレッド(アーサー王が姉との間に作った不義の息子)が、チャンスとばかりに城を横取りしてしまいます。アーサー王はあわてて城に取って返しますが、このときガウェインはランスロットに手紙を書きました。

「すべての気高い騎士の中の華であったランスロットよ。かつての愛を思い出し、王を助けてはくれまいか」

ランスロットはこの手紙を読んで改心。アーサー王を助ける決意をしました。

さよならマーリン。君を忘れない……

アーサー王の最大のパートナーとも言うべき、魔法使いマーリン。この人は案外馬鹿馬鹿しい退場をします。

マーリンは大変優れた魔法使いで、何でもできる男でしたが、女性には弱かったようです。美人の妖精ヴィヴィアン(ランスロットを育てた妖精)にベタぼれし、何でもいいなりになってしまいます。

ヴィヴィアンにはめられて、言われるままに魔術を教え、ついには彼女の城に監禁。魔法使いのくせに魔法陣に閉じこめられ、永遠に逃げ出せなくなってしまったのでした。

いつの世も、頭のいい美女は怖いですね。

聖杯を探せ!がんばれパーシヴァル!

アーサー王の宮殿キャメロットには次々に素晴らしい騎士が集まり、ついに絶頂期を迎えます。

ある日、アーサー王が円卓の騎士と座って満足げに笑っていたら、突如、円卓の上に一条の光が!そして光り輝く聖杯が、円卓の上に空中浮遊。次の瞬間、聖杯は忽然と姿を消してしまいました。すると騎士たちは全員、「聖杯を探しに行きます!」と王に宣言。

ここがキリスト教になじみのない日本人にはよく分からないところですが、とにかく騎士たちは「聖杯を手に入れなくては」と思ったようです。

この「聖杯探求の旅」に、まだ若い騎士パーシヴァルも参加。彼は幾多の試練に直面しますが、ピュアな精神と神のご加護のラッキーですべて乗り越えていきます。途中、騎士ガラハット、ボールズと仲良くなり、三人でついに聖杯を発見。一年間この聖杯を守って暮らしましたが、ある日聖杯はガラハットの命とともに天国へ消えてしまいました。

魔女モルガンの暗躍。エクスカリバー盗難事件

アーサー王には、何人か兄弟がいますが、そのうちの一人が強大な力を持つ魔女、モルガン・ル・フェイでした。彼女はアーサーの異母姉にあたります。

彼女はランスロットを罠にはめたり、数々の男を誘惑したりと、数々の悪事を働きますが、その中でも最も有名なのが「エクスカリバー盗難事件」です!

ある晩、ぐっすり眠っているアーサー王の寝室に忍び込んだモルガン。彼女はやすやすとエクスカリバーの鞘を盗み出します。この鞘は、実は剣そのものよりもずっと優れもので、この鞘を身に着けていると怪我を負わないのです。

この鞘を失ったことで、アーサー王は不死の力を失い、そこ後大怪我を負って破滅することになったのでした。

道ならぬ恋……。ランスロットとグウィネヴィア。裏切られたアーサー王

アーサー王の破滅は、奥さんの浮気が原因でした。

アーサー王の妃グウィネヴィアと、円卓の騎士の一人ランスロットは、かなり長きにわたって不倫を続けていました。アーサー王は薄々感づいていたようですが、ランスロットを愛していたので何も言いませんでした。

しかしある日、騎士モルドレッドがランスロットとグヴィネヴィアのあいびきを目撃。モルドレッドはランスロットに嫉妬していたので、親戚の騎士アグラウェインと一緒にアーサー王に告げ口します。こうして、ランスロットとグヴィネヴィアの罪は一気に明るみに出てしまったのです。

アーサー王の最期

ランスロットはアグラウェインを始めとする、何人かの騎士を殺害してフランスに逃亡。アーサー王もランスロット討伐のためにフランスへ追っていきます。

しかし!モルドレッドは実に野心家だったのです!アーサー王がいない間に城を乗っ取ってしまいます。王があせって軍を引き返すと、モルドレッドはこれを迎え撃ち、アーサー王は重傷を負います。

心にも体にも傷を負ったアーサー。「妖精の国アヴァロンで傷を治してくる」と言い残し、エクスカリバーを手に入れた湖に行き、小舟に乗って妖精たちの国へ旅立っていったのです。

グウィネヴィアと浮気していたランスロットは、アーサーの危機を知って助けに参じたのですが、時はもう遅し。すでにアーサーはアヴァロンへ行ってしまった後でした。激しく後悔したランスロットは、悲しみに打ちひしがれて死んでしまったのです。

まとめ

長々とここまで読んでくださってありがとうございました(^^♪

アーサー王って、高貴で偉大な王というイメージが強いですが、最後はかなり可哀想ですね。

イギリスでは今も、「アーサーはいつか帰ってくる」と言われているそうです。もし帰ってきたら、こんどこそ幸福な人生を歩んでほしいですね!

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