【アーサー王あらすじ】アーサー、聖剣カリバーンを抜いてイングランド王になる

2019年5月11日2025年6月17日

アーサー王と言えば、石に深々と刺さった聖剣をスルリと引き抜き、「アーサーこそ神が定めた聖なる王だ！」と人々の歓声を浴びたシーンが有名です。

このシーンはディズニー作品にもありますし、数々の映画にもなりましたね。

しかし伝説のホントの話では、実は最初にアーサーが剣を引き抜いたとき、誰もそばで見ていませんでした。

しかも、「引き抜いたよ」と言っても、誰も「はあ？うそでしょ？」と本気にしてくれなかったのです。実に地味～なシーンだったのでした。

ここでは、聖剣カリバーンの伝説を分かりやすくご説明いたします！

主な登場人物

・アーサー（まだ少年）

・エクター卿（アーサーの義理の父）

・ケイ卿（アーサーの義理の兄）

・マーリン

聖剣カリバーン。用意したのはマーリン

イングランドを支配していたユーサー・ペンドラコン王。彼には禁断の恋の果てに誕生した一人息子アーサーがいたのですが、アーサーの出生が訳アリすぎたので、アーサーは部下の騎士エクターに預けられました。

その後、ユーサーが死んでしまうとイングランドはグッチャグッチャの状態に。「次のイングランド王はオレだ！」と、腕に覚えのある騎士たちが暴れ出したのでした。

そこへ、世界一の魔法使いマーリンが登場。このマーリン、「アーサー王伝説」の「ここぞ！」というシーンにいつもしたり顔でやってきて、魔法のパワーで何でも解決するキャラなのです。

さて、マーリンは教会に名だたる騎士たちを全員集めて、魔法の力を発揮します。

異次元から巨大な大理石の一枚板を出現させ、教会の中庭に音もなく設置。その石の上には鉄の鉄床（かなとこ）があって、中央に輝く聖剣カリバーンが深々と刺さっていました。鉄床には金文字で

「この剣を引き抜いたものがイングランドの王なるべし」

と記されていました。

騎士たちはこぞってチャレンジ。しかし、剣はびくともせず、「ここには王と定められた者がいないのだ」ということでお開きになりました。

アーサー、何も知らずに剣を引き抜く

さて、それから数年が経ち、アーサー16歳。アーサーは自分が実は王子であることを知らず、エクター卿を父親と思って育っていました。エクター卿には実の息子ケイがいて、ケイはアーサーより年上でした。

あるとき、騎士になったケイが教会で開かれる模擬試合（騎士たちが剣や槍で戦うトーナメント大会。お正月に開かれていた）に出場するとき、アホ過ぎることに剣をうちに忘れてきてしました。（学校にランドセル忘れるレベルのバカです）

「頼む、アーサー！うちに帰って剣を持ってきてくれ」

アーサーに泣きついたケイ。「分かった、兄ちゃん！待ってて！」と、アーサーは急いでうちに引き返します。

しかし、うちのカギが閉まっていたのでアーサーは中に入れませんでした。困ったアーサーは、教会の中庭にある剣を思い出します。

「そうだ！あれをパクっていこう」と、勝手に中庭に入って無断で剣を引き抜き、横領したのでした。はっきりいってドロボーと変わりありませんでした。

エクター卿に信じてもらえないアーサー

「兄ちゃん、これを取ってきたよ！」

と、ケイに剣を渡したアーサー。アーサーはこの剣の由来を全然知らなかったのです。ですから、自分が真の王と定められたことに気が付かなかったんですね。

この剣は誰もが知っている剣なのに知らなかったのもニュースに疎すぎですが、引き抜くときに鉄床にでかでかと書かれていた金文字を読まなかったあたりもトホホです。アーサーは聖なる王で「優しく気高い」人ですが、「超うっかりもの」で、この後も何度もこの性格で失敗します。

ところで、ケイはこの剣が何であるかちゃんと知っていました。そこで「この剣はオレが引き抜いたよ！」とエクター卿にウソの報告。しかし「こいつが王になれるわけない」と、息子の性格を知ってるエクター卿はあっさり見抜き、「ほんとのことを言え」とシメます。

ケイはしぶしぶ告白。「アーサーが引き抜いてきた」と聞きますが、エクター卿はこれもうたぐります。

「本当にぼくが引き抜いたんです、お父さん」

「全然信じらんないね。アーサー、本当だというならやってみろ」

もう一回カリバーンを石に刺し込み、エクター卿とケイが引き抜きに挑戦。もちろん剣は動きません。アーサーが手をかけると、スルリと剣は抜けました。

やっと信じてくれたエクター卿。涙にむせびつつ、「あなたは私の子ではありません。マーリンから預かったんです」と語るのでした。

みんなに信じてもらえないアーサー

教会には模擬試合に集まった大勢の騎士たちがいました。アーサーは騎士たちにカリバーンを抜いたと言います。が、全然信じてもらえませんでした。

「こんなガキが王だなんて嘘だ」

「ペテン師じゃねーの？」

と、耳を貸さず、アーサーが目の前で剣を引き抜いて見せても、かえって逆切れ。

「王だと決定するのは聖燭節（せいしょくせつ。二月二日）の日だ」

と、勝手に日にちをのばしてしまいました。

その日、また騎士たちが引き抜きに失敗し、アーサー一人が成功しても

「今度は復活祭（イースター、春分の日の後の最初の満月のあとの最初の日曜日）に決めよう」

とまたまた日延べ。

その日も同じことが起きましたが、またまた騎士たちは怒り続け

「聖霊降臨祭（せいれいこうりんさい、復活祭後の第七日曜日）に決めよう！」

とさらに日延べ。

さすがに教会の大司教とマーリンは「これはヤバい」と判断。大勢のサクラの騎士たち（ユーサー・ペンドラコンに忠実だった騎士たち）を集めてアーサーのそばに立たせ、アーサーが剣を引き抜くと

「アーサーが真の王だ！アーサーが王になるのは神の意志だ。逆らうものは殺してしまおう！」

と叫ばせました。

これで他の騎士たちもひざまずき、アーサーを王にしたのでした。

以上が、アーサー王の聖剣カリバーン伝説です。アーサーが王になるまでの道のりは、実に地味で長かったのでした……。

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