曹操は三国志の陰の主役!奸雄の人生と性格を五分で解説
曹操(そうそう)は三国志の超重要ポジションにありますが、主役の劉備玄徳(りゅうびげんとく)の宿敵なので、日本ではあまり人気がありませんよね。
例えて言うならこんな感じ!
- 曹操⇒吉良上野介
- 劉備⇒大石内蔵助
みたいな。
でも実は!曹操は確かに冷酷な政治家として、悪の強い一面がありますが、それだけの人物ではありません。人材を愛し、芸術を愛する奥深さも持っています。
今回は、曹操の人生と、彼の性格を分かりやすく解説します!
曹操、実は恥ずかしい家系
曹操(そうそう)のおじいさんは宦官(かんがん。人工的に生殖器を切り取って、後宮にお勤めする人だよ)です。当たり前ですが子どもは作れません。ですから曹操のお父さんは養子に入った人です。
宦官は超高給取りなので、お金持ち!曹操は超ボンボン育ちなのです。でも「やーい、やーい、宦官の孫」と近所中の笑いものになる日々。後々までもこのことは腹が立ったらしく、
「曹操は宦官の孫で、実に汚らしい家系」
と、「官渡(かんと)の戦い」で敵方の文官が檄文をバラまいたとき、それを読んで怒りのあまり頭痛が治った(ホントか?)そうです。
曹操、董卓を倒そうとする
青年曹操(そうそう)はお金持ちなので、成人してからもブラブラしてましたが、ある時一念発起、時の権力者で超悪者の董卓を倒そうとします。他の英雄たちと手を組んで挙兵!
でも、寄せ集めの英雄たちなのですぐバラバラになり、失敗。「もう人は頼らん!俺が大将になって一人でやるぜ!」と連合軍とサヨナラします。
曹操、天子を生け捕りにする
独立した曹操は人材を大募集します。一番のヒットは天才政治家の荀彧(じゅんいく)。荀彧は曹操のために優れた人材を集め、国内を富ませます。
軍も手に入れて、あちこちと戦い、連戦連勝!そしてついに運命の日が……
「この国でトップに立つには、天子を手に入れなければなりません」
という荀彧の助言を聞き、曹操は貧乏にあえいでいる天子を捕まえ、自分の国の宮殿に幽閉します。この後、曹操は「天子をお守りしている英雄」として、事実上中国のトップの座に就いたのです。そして、「天子の命令である」と、勝手に周辺の英雄たちに命令を出し放題。天子の権威をフル活用して、権力の座を上り詰めていくのでした。曹操は中国の北側に魏(ぎ)を建国します。
赤壁でボロ負けした曹操
- 官渡(かんと)の戦い⇒袁紹(えんしょう)に圧勝。河北をゲットしたよ。
- 下邳(かひ)の戦い⇒呂布(りょふ)に圧勝。徐州をゲットしたよ。
という風に、まことにトントン拍子にうまくいっていた曹操ですが、宿命のライバル、劉備玄徳(りゅうびげんとく)と、呉(ご)の孫権(そんけん)が同盟を組み、戦いを挑んできた「赤壁(せきへき)の戦い」で歴史的な完敗を喫してしまいます。
この時、曹操軍は100万(ホントはもっと少ない)の大軍。対する呉は3万にすぎません。ですが、呉には天才武将の周瑜(しゅうゆ)がいたのです。
長江(ちょうこう)におびただしい軍艦を浮かべて、いざ水上戦!というその時、周瑜は呉の船に炎上させたまま敵陣に突っ込ませました。これで曹操の軍艦は全焼し、ボロ負けしたのです。
この赤壁の戦いは、映画「レッドクリフ」を見るとよく分かるよ!カッコいい俳優陣にも注目すべし。坂口の一押しです!
皇帝にはならなかった曹操
赤壁で大敗したとはいえ、曹操はこの頃、天下のほとんどを掌握。中国一の実力者でした。天子からも、「天子の前でも剣を佩いたままでいい。履物をはいたままでいい」という特権を貰い、実質的に皇帝と同じになっていました。
魏王にまで出世した曹操でしたが、周囲に勧められても皇帝にはなりませんでした。すでに皇帝と同じ権力を握っていることで満足しているし、「もし皇帝になったら、天下の人々の反感を買うかもしれない」と慎重に考えていたのかもしれません。
曹操は六十六歳で亡くなりました。
曹操は多趣味!三つ紹介
曹操はどんな性格でしょうか。三国志演義や吉川三国志では、「冷酷な政治家」「稀代の奸雄」と、すっかり悪役が定着しています。
天子を幽閉して酷い目に遭わせたし、クーデターが起こると容赦なく叩き潰すなど、確かに冷酷な曹操。少年時代、エライ先生から「君は平和な時代では能臣、乱世にあっては奸雄」と言われ、「奸雄、結構、結構」と高笑いしたといいます。
でも、曹操は「悪」ばかりではありません!ここでは曹操の意外な一面を三つ紹介します。
曹操は詩人!
曹操は当代有名な詩人でした。月を見、星を見ては詩情抑えがたくなるほどのロマンチストで、梅畑をながめてはウットリするような人でした。
有名なのは「短歌行」という歌で、赤壁の時に作った歌です。
酒に對(たい)して當(まさ)に歌ふべし
人生 幾何(いくばく)ぞ
譬(たと)へば朝露(あさつゆ)の如し
去る日は苦(はなた)だ多し
慨(がい)して當(まさ)に以(もっ)て慷(こう)すべし
幽思(ゆうし)忘れ難し
何を以(もっ)てか憂ひを解かむ
惟(た)だ杜康(とこう)有るのみ
超絶現代語訳すれば、「酒を飲んでストレスを忘れようぜ」という歌です。
曹操は建築好き!
こだわりの男、曹操は宮殿の建築にもいちいち口出しする人でした。「この庭の廊下はこうした方がいい」「この柱はない方がいい」と、かなり細かい点まで気にして、理想の住処を求めていたそうです。銅雀台(どうじゃくだい)というすごい宮殿を建設しましたが、隅々まで趣味を追求した建築物でした。
秀吉の聚楽第(じゅらくだい)みたいなのですね。
曹操、実は酒の神様!
何でもかんでもこだわる男、曹操は、もちろん酒にも並々ならぬこだわりがありました。生まれ故郷の安徽省(あんきしょう)が、酒の名産地だったことも関係しているかもしれません。
曹操はこの故郷の井戸水で作った酒を、天子に献上しています。この酒の名前は「九醞春酒(きゅううんしゅんしゅ)」といって、九回も醸(かも)して雑味を失くすという、めちゃくちゃこだわった一品なのです。この酒のレシピは今日まで残っています。
つまり、曹操の性格は……
曹操が悪の強い政治家だったのは間違いないですが、彼は芸術も愛する人でした。また、彼は大変に人材を愛する人でもありました。
こうした、ロマンチストで懐の広いところがあったために、あれほどの成功を収めたのかもしれませんね!
人材コレクター、曹操!
曹操は大変な人材コレクターでした!優れた人間を見ると、すぐにホレてかき集める癖がありました。以下、曹操がホレた人間を紹介します。
荀彧
曹操は若いころに天才荀彧(じゅんいく)と出会い、「我が子房(しぼう。昔のエライ人)よ」と言って可愛がったのは有名なエピソードです。曹操は外政も内政も、いちいち全部荀彧に相談していました。
そして曹操は、一度信用すると、とことん信用する人でもありました。曹操は自分が戦争に出ている間、「荀彧さえいれば大丈夫」と、全面的に信頼して城を任せていました。こうした信用が、家臣の心をつかんだのでしょう。
許褚
許褚(きょちょ)は曹操軍でナンバーワンの武将です。頭は悪いけど、素直で馬鹿力の愛すべき男!牛のしっぽをつかんで引きずり戻したらしいぞ。
夏侯惇
夏侯惇(かこうとん)。曹操が兵をあげたときから一緒の武将。片目に矢が刺さったとき、自分で矢を抜いた豪傑!でも片目になったことを怒って、鏡に八つ当たりしたらしいぞ。
関羽
関羽(かんう)。この人は部下じゃないよ。
関羽は劉備玄徳の義兄弟で部下。でも、強い上に忠誠心厚い関羽に曹操はべたぼれ。あるとき、劉備軍をコテンパンに負かした曹操は、劉備の夫人たちを生け捕りにし、夫人たちを保護するという条件と引き換えに関羽を部下にします。でも関羽は
「兄上(劉備のこと)の行方が分かったら(行方不明だったので)、すぐに兄上の元に帰ります」
と条件を出したのでした。
それでも関羽に惚れ切ってる曹操は、関羽を下にも置かぬ扱い。「時間をかければ、きっと心から部下になるはず」と思って、毎日関羽のために宴を開いたり、赤兎馬(せきとば。スーパー名馬)をプレゼントしたりします。
でも、鉄の男関羽は、結局、義兄弟の情を忘れず、曹操の元を去ってしまったのでした!(ここで泣いてください)
曹操のブラックリスト!
一大政治家、曹操には敵がいっぱい!その代表はこれだ!
劉備玄徳(りゅうびげんとく)
宿命のライバルだよ。曹操は劉備に「当世の英雄は、わしとそなたじゃ!」と宣言。
孫権(そんけん)
呉の皇帝。親子ほど年下だけど、侮れないぞ。
呂布(りょふ)
一度、追い詰められて命を取られそうになったことも。でも頭が悪いのでやっつけたぞ。
袁紹(えんしょう)
官渡(かんと)の戦いで、圧倒的に数が劣勢だったけど、まさかの大逆転でやっつけたぞ!
馬超(ばちょう)
馬超の父親をやっつけたら、怒り狂って復讐に来た人。ヤバいくらい強くて、曹操もタジタジ。でも頭を使ってやっつけたぞ。
曹操暗殺計画!
敵が多すぎる曹操。もちろん暗殺されかかることも……。
董承(とうじょう)の計画
天子を閉じこめてる曹操。漢の忠臣たちは大激怒します。その筆頭、董承が仲間を集め、暗殺計画を練ったのでした。
曹操が頼ってる医者に頼んで、いつもの薬の中に毒を混ぜるというありきたりな方法。しかし!董承の妾といい仲になってる間男が計画を聞きつけ、密告!バレちゃったのでした。
馬騰(ばとう)の計画
漢の忠臣馬騰も曹操を狙う一人。魏の中心、許都(きょと)でひそかにクーデターを起こそうとしたのですが……。これも馬騰の友達の妾といい仲になってる間男がいて、密告!バレちゃったのでした。
暗殺計画まとめ
つねにいい加減な女と間男のおかげで助かる曹操!何かを持っているのです。
曹操の弱点
なんでもできる曹操ですが、もちろん人間なので弱点も。二つ紹介します。
頭痛持ち
曹操は頭痛持ちです。死ぬときもめちゃくちゃ頭痛で苦しんだそうで……。天下人も悩みが尽きないものですね。(わたしも頭痛持ちです。凡人だけど)
顔がさえない!
曹操はものすごく小男でした。背が低いので、他の武将からバカにされることも……。しかも目が鳳眼(ほうがん)。大変細い眼だったのです。小男で目が細かったら、ハッキリ言って貫禄がありません。
自分でもコンプレックスだったようで、自分の容貌を知らない客には、カッコいい影武者を使っていました。気の毒ですね。
まとめ
長々とお疲れ様です……。
曹操は人間が大きすぎて、なかなか凡人には計り知れないところがありますね。また、書ききれてないところを付け足していく予定です。
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