劉備玄徳ってどんな人?わらじ売りから皇帝へ大出世の人生まとめ

2020年6月5日

三国志の主人公、劉備玄徳(りゅうびげんとく)!たぶん、アジアに住んでいる限り、この名を聞いたことのない人はいないのではないかと……。(孔明の方が有名かな?)

でも案外、劉備がどんな人生を歩んだのか、そのあらすじを知っている人は少ないのでは?

それもそのはず。劉備は主人公のくせに、派手な活躍って少ないんですよね!華がない!部下にも恵まれ、主人公の座にあるくせに嘆いてばっかり。ハッピーなことがほとんどない!最期もボロボロになって死んじゃいます。

今回は、そんな地味な主人公劉備の人生、性格、人間関係などを、どこよりも分かりやすくまとめます。

勤労わらじ売り劉備

劉備はもともと、ビンボーなわらじ売りの青年でした。父はとっくに亡くなっていて、母一人、子一人。老いた母に孝行を尽くし、朝から晩までわらじを編み、街に売って生計を立てる劉備青年。遊びなんか一切せず、二宮金次郎のよーに働いてました。

まさに清貧!孝行息子の鑑のような生活。劉備のエラさはご近所の大評判で、「なんて偉い息子だ。ヨヨヨ……」と、乱れた世の中の「おしん」的存在だったのでした。

そんなある日!母から自分が「漢の皇帝の末裔だ」と聞かされます。大衝撃を受けた劉備、「自分はこの国の不幸な人々を救い、再び漢を救おう」と決心するのでした!(末裔だというのは、ホントかどうか分からないのですが……)

頑張れ!三兄弟!

そんな劉備の元に、真っ先に駆けつけたのは関羽(かんう)と張飛(ちょうひ)。一騎当千のムチャムチャ強い武将です。

劉備はこの二人と桃園で義兄弟の契りを結び、以後、「三兄弟」と言われるようになるのです。これは「桃園の誓い」といって、三国志中、超有名シーン。(でも作り話らしいよ)

ですが……。世の中そんなに甘くない。三兄弟はその後頑張りますが、負け戦に次ぐ負け戦!まとめると大体、こんな感じ。

  1. 宿命のライバル曹操(そうそう)にコテンパンに負けまくり。
  2. 一度、とっても豊かな土地、徐州を手に入れるも、これまた鬼神と呼ばれる呂布にぶんどられる。
  3. また曹操にボロ負け。
  4. 荊州(けいしゅう)の親戚にかくまってもらうけど、またもや曹操にボロ負け!

つまり、曹操に疫病神みたいに付きまとわれて、命からがらって感じだったのですね。

神、降臨!孔明先生

上記とちょっと時間がかぶるのですが、劉備が荊州にいたときのことです。負けまくり劉備の元に、ついに人生を変えるビックチャンスが訪れたのでした!

天才軍師、諸葛孔明(しょかつこうめい)との出会いです。

ある日、あまりにもツイてないので、学者の水鏡(すいきょう)先生に人生相談にのってもらった劉備。「あんたにはブレーンがいないから勝てないんだ」とズバリ言われます。これで、「そうだ!軍師を手に入れよう!」と目からウロコが落ちたのでした。

いろいろあって、孔明のおうちまで来た劉備、孔明は人間嫌いなので(天才ってだいたいそうですよね)なかなかなびいてくれないのですが、劉備はしつこいくらい勧誘。とうとう、孔明を口説き落としたのでした。これが有名な「三顧(さんこ)の礼」です。(三回うちを訪ねたから)

劉備、一気に大出世

孔明先生を手に入れた劉備。天才頭脳のおかげで、ここから加速度的に大勢力にのし上がります!まとめるとこんな感じ。

  1. 大逆転!赤壁の戦いで曹操を撃破!(でも劉備は出陣してない。頑張ったのは同盟国の呉だけだよ!)
  2. 呉(ご)を騙して荊州(けいしゅう)乗っ取り!
  3. 蜀(しょく)を治めてるのは暗愚で有名な劉璋(りゅうしょう)!蜀も分捕ったり!
  4. ついに蜀の王になったよ!

こうしたわけで、劉備はついに勤労わらじ売りから蜀王に上り詰めたのでした!

大転落……。関羽死す

今や、我が世の春と思われた劉備でしたが、ここで思わぬ不幸が……。三兄弟の一人で、劉備の片腕だった関羽が死んでしまったのです!しかも死因は、同盟国だった呉に裏切られたという最悪な原因。関羽はこの頃、荊州を守っていたのですが、呉にハメられて殺されたあげく、荊州も取られちゃったのでした。

「許せん!兄弟の仇は必ず討つ!断固として呉を叩き潰すぞ!」

劉備は固く決意。反対する孔明や重臣たちの意見をすべて無視。この時、劉備はすでに蜀の皇帝になっていたので、重臣たちも強く言えません。劉備は大軍率いて呉を目指したのでした。

仇討ちならず……。劉備、ボロボロになって死す

恨みの形相ものすごく、破竹の勢いで突き進む劉備!しかし、呉には天才の陸遜(りくそん)がいたことを知らなかったのです。

親子くらい年下の陸遜に、あと一歩と言うところで完敗。味方はほぼ全滅。命からがら白帝城(はくていじょう)という砦に逃げ込みましたが、劉備もすでに高齢。敗戦ショックと疲労が限界にきて、すでに虫の息になってしまいました。

臨終に駆けつけた孔明に「自分の息子はバカすぎる。息子が皇帝になれないと思ったら、蜀はお前が引き継いでくれ」と頼んで死んでしまったのでした。享年、六十三歳でした。

劉備の息子がどれくらいバカだったかは、この記事を読むと分かるよ。
【冗談三国志】劉備の息子、阿斗が暗愚な理由!黒幕は趙雲だった!

劉備の性格は?優柔不断、でもキレると怖いぞ

劉備の一般的な評価は、「聖人君子」「情が深い」「高貴で仁義に厚い」という、エライ大評判です。

実際その通りで、劉備は大変に良い治世を行う名君で、曹操に荊州を追い出されたときなどは「劉備様についていこう」と民たちが劉備をしたって必死についていったというエピソードも。

ただし、孔明ゲット以前は負け戦ばっかりだったことから分かる通り、戦の才能はこれっぽっちもなく、ああだこうだと迷ってばっかりの優柔不断な人間でもありました。何年たっても戦術を学ばず、曹操に騙され放題。命が危なくなったのは数えきれないほど!

そんな劉備に、関羽張飛をはじめ、家臣たちや民はどこまでもついていきます。それは、劉備に人心をつかむ才能があったからに他ありません。劉備は家臣たちを自分の子よりも愛することで有名で、特に義兄弟の関羽は特別な存在でした。「こんなに自分を思ってくれてる!よし、この人についていこう!」と思わせる君主だったのですね。

関羽が死んで呉を攻めた時、呉の孫権は何かに憑りつかれたような劉備にビビりまくり。劉備は普段大人しいですが、キレたら誰より怖い人なのです。

劉備の弱点は?

いっぱしの教養人のはず……ですが、劉備は全然、詩の才能がありませんでした。

当時のお勉強は、史記(しき)を丸暗記するとか、論語(ろんご)を丸暗記するとか、そういうオール文学系。ですから、自分で詩を作って詠むことは、超重要な教養。分かりやすく言えば、平安時代の貴族が分かを読めなきゃ恥だったレベル。

ところが、劉備はわびさび感覚がこれっぽっちもなく、曹操が「梅林が実に美しいな……」と話しかけても「そうなの?」って全然ついていけませんでした。

今どきで言えば、「英語が恥ずかしいくらいできない」って感じですね。別に生活の上で困らないけど、やっぱりできた方がいいよね。

女性関係も貧しい劉備。でも実は手が早い?

清貧で育った劉備は、女性関係も貧しいです。生涯で奥さんは四人。

  • 甘(かん)夫人。青年の頃に出会って恋愛結婚。早死にしちゃった。
  • 麋(び)夫人。家臣の麋竺(びじく)の妹。美人だったからもらった。早死にしちゃった。
  • 孫(そん)夫人。呉の孫権の妹。政略結婚。呉に帰っちゃった。
  • 呉(ご)夫人。もう奥さんいなかったから蜀に入ってから結婚。

奥さんが星の数ほどいるキラビヤカ曹操と比べると、信じられないほど地味ですね。

でも、甘夫人(芙蓉姫とも)とは、いつも側にいる関羽や張飛の目すら盗んで、いつのまにかゲットしていたのですから、その気になれば手が早かったのかもしれません。

仲良し!劉備グループ

劉備は部下を大事にする主君。部下たちとの絆は深いです。ここでは、その代表的メンバーを紹介します。

関羽

三兄弟の一人、関羽(かんう)。インテリの上、一騎当千の武将。鉄の如き忠誠心で、曹操も孫権も「関羽が欲しいよ~」とメロメロに。でも生涯、劉備一筋だったよ!五虎将軍(劉備軍で最強の五人の武将)の一人。

張飛

三兄弟の一人、張飛(ちょうひ)飲んだくれで乱暴者だけど、すごい猛将!頭は悪いけど、劉備一筋のいい男!五虎将軍の一人。

諸葛孔明

天才軍師。とにかく何でも知ってて、未来のこともお見通しのすごい人。いつもウチワを持ってるのが目印。

趙雲

五虎将軍の一人、趙雲(ちょううん)。猛将だけど、思慮深くて遠慮深い、奥ゆかしい男!白馬に乗ってるのがポイント。

孫乾

文官の孫乾(そんけん)。劉備がビンボーな頃から、見捨てずについてきた、けなげな人。頭がいいはずだけど、神がかってる孔明のせいで影が薄いよ。熱血すぎる関羽や張飛の助言役になることも。

麋竺

文官の麋竺(びじく)。これもビンボー時代からのけなげ組。妹が美人で、劉備にプレゼントしたよ。

劉備ってこんな顔!

劉備はハッキリ言って気持ち悪い姿かたちをしてます。

腕が長すぎて、下に垂らすと膝まで届いた!しかも、耳がジャンボサイズで「ウサギ野郎」とあだ名されてた!

小説では、「見るからに高貴な姿」と書かれている劉備ですが、このことを踏まえると、「ホントか?」と首を傾げたくなりますね。

この、「腕がキモいくらい長かった」というのは、北方謙三の三国志に、忠実に書かれていますよ。マニア情報が小説に書かれていると、ちょっとドキドキしますね。興味があったらこちら!(この小説の呂布は、あり得ないほどカッコいいぞ)

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まとめ

長文、お疲れ様です!

劉備は戦乱期の人にしては、おとなしいし(普段は)、引っ込み思案(普段は)なので、この人の良さはなかなか分かりづらいところがあります。でも、これだけの英雄たちが劉備に魅かれてついていったということは、彼には他にない素晴らしさがあったはずです。

三国志を深読みして、「どんなところが素晴らしかったのか」と深読みするのも楽しいですね。

劉備については、わたしがAmazonキンドルから出版した「三国志より熱を込めて」に、熱血に語りまくってます!読んでね!

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