【北欧神話】ヴァルキューレの有名な神話、2選!
北欧神話の中でも特にカッコいいヴァルキューレ!
ワーグナーの「ヴァルキューレの騎行」という曲はカッコよすぎ。ぜびYouTubeで聞くことをおすすめします。
しかし、案外ヴァルキューレの個人名や活躍する物語は知られていないのでは?今回は、ヴァルキューレが活躍する物語を二つご紹介いたします!
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「フンディング殺しのヘルギ」とヴァルキューレの悲恋
この物語は、幾度も生まれ変わっては恋に落ちるヘルギとヴァルキューレの悲恋の物語です。まるで手塚治虫の火の鳥のような二人。悲恋を宿命づけられた二人に明日はあるのか?!
ヘルギとスヴァーヴァ
ヒョルヴァルズという王に口のきけない息子がいて、この息子には名前がありませんでした。ある日、この息子の前をヴァルキューレが馬に乗って通りかかります。
「王子よ、ヘルギよ。猛き心を持っていても、黙っていては優れた勇士にはなれませんよ」
「乙女よ。ヘルギと言う名につけて、何をくれるのですか。(名前を付ける者は、必ず他に贈り物をするのがしきたりでした)あなたをわたしにくれるのでなければ受けませんよ」
ヴァルキューレの名はスヴァーヴァ。彼女は人間でエイリミ王の娘でした。ヘルギはスヴァーヴァから黄金の剣を受け、この剣で数々の戦に勝利。巨人を殺し、偉大な王となり、ついにエイリミ王からスヴァーヴァを妻にする許しを得ます。
深く愛し合う二人でしたが、しあわせは長続きしません。ヘルギの弟ヘジンがスヴァーヴァに横恋慕し、呪いを受けたヘルギは次の戦で致命傷を負ったのです。
戦場で傷を負ったヘルギ。すぐに駆け付けるスヴァーヴァ。
「スヴァーヴァ、よく来てくれた。これが今生の別れとなろう。お願いだ、我が花嫁よ、泣かないでくれ」
「ヘルギ様、わたしは誓いました。我が君が亡くなられることがあっても、決して他の王の腕に抱かれることはありませんと」
「スヴァーヴァ、口づけしてくれ、わたしに……」
こうしてヘルギは死に、また生まれ変わって出会うことになるのです。
ヘルギとシグルーン
シグムンドの息子ヘルギは若く猛々しい王で、ある日美しいヴァルキューレと出会い、恋に落ちます。彼女はスヴァーヴァの生まれ変わりで、シグルーンと言う名の娘でした。
シグルーンは強大な王グランマルの息子と、無理やり婚約させられていました。ヘルギはシグルーンを救うためにグランマルと戦い、ついに彼女を妻にします。しかし、この戦いで、シグルーンの父や兄弟も皆殺されたのです。
シグルーンは泣きますが、それよりもヘルギの妻となれたことを喜びました。二人の間には子供も生まれ、深く愛し合って幸せに暮らします。
しかし、一人生き残ったシグルーンの弟ダグが復讐の機会をうかがっていたのです。ダグはヘルギの隙をうかがい、槍で突き殺してしまいます。
「姉上、悲しい知らせを申し上げなければなりません。今朝、天下に並びない王が討たれたのです」
シグルーンは泣き崩れます。「王の姿が見えないのであれば、わたしには何の喜びもありません」
ある晩、侍女がヘルギの亡霊が墓に現れると報告。シグルーンはただ一人で墓に走り、そこでヘルギの霊と再会します。
「この上ない喜びでございます。あなたにお目にかかれて。口づけしとうございます」
「シグルーンよ、わたしが悲しみの血に濡れているのはそなたのせいなのだ。そなたの涙がわたしの胸の上に落ちて、それが燃えるような血になる。命も土地も失ったが、今は美酒を酌みたい。ここに妻がいるのだから」
「王よ、生きておいでの時そうしたように、あなたの腕に抱かれ休みとうございます」
朝になり、亡霊は去ります。ヘルギはその後二度と現れず、シグルーンは悲しみのあまり死んでしまいます。彼らは再び生まれ変わり、また出会うことになります。
ヘルギとカーラ
この叙事詩は今は失われてしまっており、ストーリーしか分かっていません。
ハッディンギャルの勇士ヘルギは、恋人でありヴァルキューレのカーラの守護を受けてデンマーク人と戦っていました。あるとき、ヘルギはヴィーネル湖で戦っていました。カーラは白鳥の羽衣を着て、白鳥の姿でヘルギの頭上を飛びます。彼女は魔法の歌を唱えて敵をしびれさせ、ヘルギを守っていました。
すると、ヘルギは剣を高く上げすぎて頭上にいたカーラを殺してしまったのです。守護神を失ったヘルギも無事ではすみません。彼もデンマーク人に頭を割られて死んでしまいました。
シグルズとブリュンヒルデ
ブズリ王の娘ブリュンヒルデは当時最も優れたヴァルキューレでしたが、あるときオーディンが滅ぼそうと思っていた戦士に肩入れし、オーディンの考えに背いて戦士を救ってしまいました。
オーディンに背いたブリュンヒルデは罰を受けます。山のてっぺんに寝台を築き、その周りは燃え盛る火焔で包みました。ブリュンヒルデはその寝台の上で永い眠りにつきます。「恐れを知らぬ勇士だけが、口づけによって彼女を目覚めさせる」とオーディンは約束します。
長い年月が経ち、シグルズという英雄が訪れ、ブリュンヒルデを眠りから目覚めさせます。力強い英雄に一目で恋に落ちたブリュンヒルデ。ブリュンヒルデは非常に賢いヴァルキューレだったので、シグルズに知恵を伝授。シグルズはブリュンヒルデのおかげで知恵、武力ともに備えた英雄に。シグルズとブリュンヒルデはその場で婚約します。
ところが、シグルズはあろうことか、その後ギューキ家の娘グズルーンと結婚。グズルーンの兄、グンナルが嫁探しをしていることを知り、ブリュンヒルデをグンナルと結婚させます。
愛を裏切られ、深く傷ついたブリュンヒルデ。彼女は復讐を誓います。夫グンナルと、その弟グドホルムをたきつけて、シグルズを背後から刺し殺すのです。
まとめ
いかがでしょうか? ヴァルキューレの恋物語はたくさん存在しますが、どうもヴァルキューレは幸福になれない運命のようです。
ブリュンヒルデのお話を読んでくださればお分りでしょうが、この話は明らかに「眠れる森の美女」の原型です。「眠る美しい姫を、王子様が口づけで目覚めさせる」というパターンは、神話の時代から永遠のロマンなのですね。
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