円卓の騎士ランスロットってどんな人?アーサー王の妻との関係も詳しく解説

2025年6月10日

アーサー王の円卓の騎士で、最も有名なランスロット!

メーカーの名にもなり、映画やゲームにも引っ張りだこ。「騎士の華」と讃えられたランスロットの人気は、現代でも不滅です!

今回は、ランスロットの生涯や性格、家族関係、そして彼の悲恋の物語を詳しくご紹介します!

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ざっくり紹介!ランスロットの生涯

ランスロットは戦いあり、恋あり、裏切りありの波乱万丈の人生を歩みます。細かいところははしょって、その大筋を紹介します!

湖のランスロット

ランスロットはバン王と妃エレインの子です。しかし、戦に負けたためランスロットは両親を失い、湖の妖精ヴィヴィアンに育てられます。ヴィヴィアンは湖の城でランスロットを最高の騎士に養育。このため、ランスロットは「湖のランスロット」と呼ばれるようになります。

ランスロット、アーサー王とご対面

ランスロットが大きくなると、ヴィヴィアンはランスロットをアーサー王の元へ連れていき、円卓の騎士に加えてくれるように頼みます。

超イケメンで礼儀正しく、非の打ちどころのない騎士に育ったランスロット。彼がアーサーの前に跪いて忠誠を誓う儀式をしたとき、なんと側に立っていたアーサー王の妃グウィネヴィアがランスロットに一目ぼれしてしまいます!

このグィネヴィアの熱愛が、ランスロットの輝かしいはずだった人生を、転落人生に変えてしまうのです。

とにかくいっぱい冒険するランスロット

当時の騎士は冒険好きで、あちこちに出かけては正義のために戦うことを最高の名誉としていました。ランスロットもご多分に漏れず、冒険しまくって、素晴らしい働きをし、人々にホメちぎられます。

・魔女モルガン・ル・フェイの城から脱出
・嘆きの姫を救出
・大男の騎士タークィンに勝利
・ガウェインと一緒に聖杯城(カーボネック城)を発見。
・火あぶりにされるところのグィネヴィアを救出

このほかにも、ランスロットはアーサー王が何度も主催した騎士の試合でもチャンピオンに。あらゆる姫たちはランスロットに夢中になり、騎士たちも彼をスーパースターとしてあこがれるようになります。

グィネヴィアとの不倫発覚!

アーサー王の妃グィネヴィアは、ランスロットに一目ぼれして以来、人妻なのにとにかく猛アタック!ランスロットもなぜか妃を慕うようになってしまいます。

道ならぬ恋はまたたくまに周囲の知るところとなり、とうとうランスロットはアーサー王と戦うことに……。しかし、敬愛するアーサーに剣を向けることができないランスロット。海を渡ってフランスへのがれます。

ランスロットを追ってアーサーもフランスへ渡りますが、留守にしている間に、騎士モルドレッドに城を乗っ取られたことを知り、慌てて引き返します。ところが逆に、アーサーはモルドレッドに討たれて死ぬのです。

王の死を知ったランスロットも、悲嘆のあまり死んでしまいました。

ランスロットの性格

ランスロットはあらゆる騎士たちの中で、最も勇気があり、高貴で潔癖。「騎士の華」と呼ばれていました。

アーサー王と一緒にローマ軍と戦っていた時、戦死した大勢の騎士たちの話を聞いてアーサーが弱気になり

「ここで退却しようか」

と言い出した時、ランスロットは「とんでもありません。進軍しましょう。面目は一度失われたら戻りませんよ」

と王を叱咤激励。名誉を重んじる、勇気ある性格です!

また、恋愛に対しては大変一途。

女性からとにかくモテまくっていたランスロット。人外の魔女からもモテまくり。あるとき四人の魔女に捕まってしまって、

「わたしたちのだれか一人を選べばここから出してあげる」

と言われたことがあります。しかし彼はきっぱりと

「一度心を捧げた女性(グィネヴィアのこと)を裏切る真似はしない」

と拒否。もしかしたらこの呪い殺されてしまうかもしれないのに、愛を選ぶランスロット!まさに騎士の華ですね。

(モテ男君なので、この時は下働きの少女がランスロットに惚れて逃がしてくれます)

これは謎!ランスロットはなぜグィネヴィアを愛したのか?

グィネヴィアがランスロット好きになったのはよく分かります。が、グィネヴィアはハッキリ言って超がつくほど自己中な性格……。なぜランスロットほどの人がグィネヴィアを好きになったのか謎です。

一瞬でランスロットに惚れたグィネヴィアは、夫アーサーに対する気まずさとか罪の意識は微塵もありません。ランスロットが不安になるくらい猛アタックの連続です。

さらに……、両想いになった後、愛するランスロットに対しても思いやりのかけらもないグィネヴィア。

「このペースで逢引き続けてたらバレるかも」

と思ったランスロットがあいびきを避けていたら、グィネヴィアは大激怒。

「この裏切り者!」

と、ランスロットを罵倒しまくるというワガママぶり!

こんな女の何がよかったのか……。美人だから?恋は理性じゃないから……でしょうか?

意外と食い意地が張ってるランスロット

ランスロットは円卓の騎士の中で最強の騎士で、名声も手柄もピカイチでしたが、「魂が清い騎士か」というと、そうではありません!

そもそも不倫してるし、清貧からは程遠く、ごちそう大好き!お酒大好き!女も好き!という、かなり俗っぽい性格です。

なのでランスロットはこの世での罪が重く、聖杯探求の冒険ではものの見事に失敗。魂が清くなかったので、聖杯に触ることもできませんでした。

ランスロットはあくまで「俗世で最高の騎士」だったのです。(魂が最高の騎士はガラハッドです)

ランスロットの有名な冒険

ランスロットはとにかくたくさん冒険をしてます。ここでは、その中でも有名どころを二つ紹介します。

嘆きの姫

ある年、アーサー王がキャメロットで復活祭のお祝いをしているとき、突然一人の隠者がやって来て、

「王様!嘆きの塔に捕らわれてる姫のことをお伝えに来ました。その日目を助けることができるのは、一番優れてる騎士だけです。ランスロットを大急ぎでお遣わし下さい!」

と言ってきたので、急に出かけることになったランスロット。

隠者と一緒に長い旅を続け、ついに丘の上に建っている黒い塔を発見。そのふもとの町の人々が言うには、

「騎士様、あそこにはわたしたちの姫が閉じ込められてます!魔女モルガン・ル・フェイが姫の美しさをねたんで、あの塔に閉じ込めたんです!姫は塔の中で五年間も、熱湯の風呂の中に縛り付けられています。助けてください!」

熱湯のふろに五年もつかっていたら、フツー死ぬだろうと思いますが……そこは伝説なので気にしないように。

この魔法は、「現在世の中で一番優れた騎士」が姫を風呂の中から助け起こしたら解かれるというもので、そのため隠者はランスロットを連れてきたのでした。

果たして!ランスロットが塔の中に入り、姫をよっこらしょと風呂から引き上げると、たちまち魔法は解消!姫は助かったのでした。

カーボネック城のエレイン姫

冒険を続けるランスロット。ある日、カーボネック城という不思議な城にたどり着きました。

この城のペレス王は、実はイエスキリストの弟子アリマテヤのヨセフの子孫!代々、イエスキリストが最後の晩餐で使った聖杯と、ロンギヌスの槍をを受け継いでいるという、超ミラクルな家系なのです!

でも、この時のペレス王とカーボネック城は、バリン卿の「災いの一撃」を受けてさんさんたる有様。

カーボネック城一帯の土地は草一本生えない荒れ地になっちゃってるし、ペレス王は「災いの一撃」を受けて大けがを負い、しかも神様の御利益がない限り絶対にけがが治らないという悲惨な身の上。

この「災いの一撃」の出来事は、このページで詳しく解説してます↓
エヴァのロンギヌスの槍は、アーサー王伝説に出てる!聖杯探求冒険のあらすじまとめ

さて、このカーボネック城にたどり着いたランスロットですが、この城のペレス王には、エレインという美しい姫が一人。

このエレイン姫が、あまりにも強くてイケイケなランスロットに一目ぼれ!

「どうしてもランスロットと結婚したい!はっきり言ってランスロットと寝たい!」

と、思いつめまくります。しかしランスロットはグウィネヴィアしか頭にないので、エレイン姫のことはアウトオブ眼中……。

あの手この手でランスロットを落とそうとしたエレイン姫ですが、全然相手にされないので、ついに最終手段。何とランスロットに魔法をかけて(催眠術?)頭をレロレロにし、

「あなた!わたしグウィネヴィアよ!一緒に寝ましょう!」

と、襲い掛かってベッドインしたのでした。

……次の朝、衝撃の事実を知ったランスロットは、あまりのショックでノイローゼになり、精神錯乱に陥って裸同然で諸国をフラフラ歩き回るという有様に……。

一方、エレイン姫は百発百中のすごい確率で妊娠!男の子を生み落としました。これがのちに「聖杯探求の冒険」で大活躍するガラハッドなのです。

さて、ランスロットはその後奇跡的に頭が治り、キャメロットへ帰りましたが、エレイン姫のことは二度と顔も見ようとしませんでした。エレイン姫はランスロットに嫌われたショックで病気になって死んでしまいます。

姫をかわいそうに思った家来たちは、エレインを小舟に乗せて川に流しました。小舟はキャメロットまで流れ着き、ランスロットやアーサー王が発見。ランスロットはエレインの死骸を見て泣いたということです。

ランスロットをめぐる人々

ここでは、ランスロットの家族、恋人、友人その他を紹介します!

両親

父バン王、母エレイン。ランスロットが赤ちゃんの時に、戦に敗れて退散。

妖精ヴィヴィアン

ランスロットの育ての親。湖の城でランスロットを育てます。

アーサー王

ランスロットの主人。アーサーがランスロットを「円卓の騎士」にします。

グィネヴィア

ランスロットの恋人。でも人妻。アーサー王の妃。

騎士ガラハット

ランスロットの息子。

ランスロットに熱を上げ、どうしても一緒に寝たい!という姫がいて、何とランスロットに催眠術を!頭がレロレロになったランスロットと一緒に寝て、ガラハッドを産んだという、とんでもないいきさつが……。

当たり前ですが、ランスロットは翌朝出ていって二度と会いに来ませんでした。

が、ガラハッドは「世界で一番清い騎士」に成長し、聖杯を発見することに成功します!

ところで、この姫の名はエレインというのですが、ランスロットの母親もエレイン。ランスロットはエレインという名の女性と縁があるみたいですね。

騎士ガウェイン

 

ランスロットと同じくらい腕の立つ円卓の騎士。ランスロットの一番の親友!

でも、ランスロットは不倫がバレてグウィネヴィアと一緒に逃げる時、ガウェインの弟たち二人を惨殺してしまいました。

愛する弟二人を殺されたガウェインの恨みは激しく、「世界中探し回ってもランスロットの首を取る」と宣言。

その後、ガウェインはランスロットと熾烈な戦いを繰り広げ、その怪我が元でなくなるのです。

ガウェインはランスロットの親友!生涯と性格を徹底解説

まとめ

世界一高貴な騎士で、誰よりも強く勇敢だったランスロット。しかし、その最期は主君を裏切って死に追いやり、後悔のどん底で死ぬ――という無惨なものです。

グィネヴィアにさえ出会わなければ、もっといい人生が歩めたハズ……です!

 

↓このページで、アーサー王関連の映画や本を紹介してます。ぜひ見てね!

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