【北欧神話のあらすじ】ロキ、アース神の仲間入りをする

いよいよこの回から、北欧神話で堂々ナンバーワンの人気を誇るロキが登場します!
ロキがいつ、どのようにしてアース神の仲間入りを果たしたのかというエピソードは、ほとんど残ってないのですが……。わたしは偶然ゲルマン神話の本でこの話を見つけたので載せておきます。
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【北欧神話のあらすじ】神々の王オーディン、世界を創造する
オーディン一家、アースガルドで悠々自適
さて、アースガルド(神々ワールド)、ヨーツンヘイム(巨人ワールド)、ミッドガルド(人間ワールド)、ヘル(あの世)と、世界がきちんと区切られて平和になり、神々ものんびり暮らしてました。
オーディンは神々の最長老であり、すべてを支配する神です。オーディンはいつも玉座フリズスキャルヴに座って、そこから世界を眺めてます。フリズスキャルヴは、世界のすべてを見渡すことができるというレアアイテムなのです。
さらに、オーディンはカラスのフギンとムニンを飼っていて、この二羽は世界を飛び回って、飼い主に見たことすべてを報告します。なので、オーディンには誰も秘密を持つことができないのです。
オーディンは時々アースガルドから出て行って、青い雲の外套をまとって世界を見て回っています。この時オーディンは魔法で姿を変えて旅人の格好をしていますが、それをいいことにあっちこっちの女の子をつまみ食いして、しかも子供を産ませたまま放置します。超サイテーです。
こんな旦那を持ってるので、オーデンの奥さんフリッグは苦労人です。この奥さんは結婚の女神なのに、旦那はしょっちゅう浮気しまくって、しかもエラソーに
「わしはあの女のところではこうやってうまくいった」
「わしはあの女には騙された。こんな風にひどい目に遭った。だからお前も油断するな」
と、ベラベラ公言してます。
オーデンとフリッグが特に夫婦ゲンカもしないでうまくいってるのは、「フリッグが賢くて無口だから」ですが、一番の理由は、二人の息子である光の神バルドルを、オーディンもフリッグも盲愛してるからです。「子はかすがい」とはよく言ったもんですね!
でも正直、フリッグは「この子がいるから、あんな亭主どうでもいいわ」と思ってるのかも……。
光の神バルドルは、まさに光そのもので「身も心もキレイ」な神様です。姿は美しく輝いていて、賢くて優しく、平和主義者です。悪い心を一切持ってません。でもそのため、人の悪意も分かりません。
オーディンはフリッグの他の女神との間にも子供を持ってます。
第一の息子はトールです(バルドルより年上なのに注目!)。トールは大地の女神ヨルズの子なので、農民たちの神であり、豊作の神でもあります。ヤギの戦車うぁしらせて雲の上を突き進み、穏やかな天候を遣わしたり、畑に温かい雨を降らせたりします。時折、アースガルドやミッドガルドに入り込もうとする敵に稲妻を投げつけることもあります。
千里眼の神ヘイムダルは、アースガルドとミッドガルドを繋ぐ虹の橋、ビフロストの端に立って、常に見張りの役をしています。彼は巨大な角笛ギャラルホルンを持っていて、巨人たちとの最終決戦、ラグナロクが始まった時に、この角笛を吹きならすことになっています。
女神たちもアースガルドで重要な座を占めていました。
フリッグに次いで、最も重要な役を担っていたのが女神イドゥン。彼女は「永遠の若さのリンゴ」の木を育てていて、その黄金の実を長持ちの中にしまっていました。
毎日、食事の後でイドゥンはこのリンゴを神々に配ることが仕事なのです。
このリンゴの為に歳をとらない神々は、自分たちが不死のもので、永遠に若いままであると信じて疑いませんでした。
そして、アース神たちは「白妖精たちの世界」アーヴルヘイム、よこしまな「黒妖精(小人のこと)たちの世界」スヴァルトアーヴルヘイムを新しく作って、世界を建て増ししました。
こうして、ニヴルヘイム、ムスペルヘイム、アースガルド、ヨーツンヘイム、ミッドガルド、ヘル、アーヴルヘイム、スヴァルトアーヴルヘイム、ヴァナヘイム(これは次回出てくる国)の、九つの世界が出来上がったのです。神々はすっかり安心して、
「これでこの世界も永遠に滅びることはないだろう」
と、思ってました。
ロキの到来!ロキを義兄弟にしたオーディン
さて、いよいよロキの登場です!
ある日、一人の巨人がアースガルドを訪れました。彼は「ロキ」と名乗りました。「ロキ」とは古代の言葉で「火」を意味しますので、彼は火の巨人だったのでしょう。
ロキを見た神々は非常に驚きました。ロキは、巨人にもかかわらず小柄で、しかもとても美しかったのです。
巨人たちはたいてい、恐ろしいほどに大きくて、肌は青白く、吐く息は氷のように冷たく、顔はとても醜く歪んでいます。
しかしロキは、まぶしいほどの金髪で、肌は白く、目は赤や緑にちらちらと輝いていました。背丈は神々の中でも少し低いくらいです。
ロキはとても愛想がよくて口達者で、神々のアースガルドに堂々と入り込み、
「あんたがたは、もっと巧みな建造物を作った方がいいだろうね。だってヨーツンヘイムに住む怪物トロルたちが、ミッドガルドに入り込もうと企んでいることだしね……」
と、水が流れるように語りました。
当然、神々はあわてふためいて会議を開きます。ロキの情報は正確で、その後トロルたちの陰謀は現実のものになりました。
この働きで、ロキは神々に一目置かれる存在になります。そしてその後も、ロキはしばしばアースガルドに姿を現しましたが、彼は美しいだけでなく、陽気でいたずら好きで、非常に頭がよく、弁舌の滑らかさは神々も舌を巻くほどでした。
真っ先にこのロキを気に入ったのはトールです。
トールはロキの皮肉めいたおしゃべりと知恵がすっかり気に入って、自分が旅に出る時の供に進んでロキを選びました。
なので、ロキがオーディンに近づいて
「あなたの側に席が欲しい」
と願い出た時も、トールは「ロキの願いを聞き入れてほしい」と、この旨を神々の協議の場で熱心に話しました。
正直なところ、ロキがなぜオーディンに近づいたのか、はっきりしたところは分かりません。ただロキは「オーディンに自分に近いものを感じた」と言っています。
しかし当然ながら、これに、神々は真っ二つに分かれて揉めまくります!
まず反対したのは、青春の女神イドゥンです。
「ロキを仲間に入れるなんてとんでもないわ!ロキは巨人じゃないの。ロキがアースガルドに来たいのは、わたしが持ってる黄金の不死のリンゴが欲しいだけよ!トール、あなたは騙されてるんだわ!」
また、「神々の見張り番」であるヘイムダルも反対しました。
「ロキは信用ならん。あの若い巨人は悪賢い。奴の鋭い知恵は陰険なものへ、奴の策略は悪だくみと化すだろう。あいつは巧みな言葉でアース神を惑わせ、あの美しさでアース女神を誘惑するだろう。そして協議の場に災難を引き起こすだろう」
と言いました。散々な言いようですね~。
一方、光の神バルドルは「わたしはロキを迎えることに賛成です」と言いました。
「アースの神々が一人の若い巨人を迎えるなら、神々同士の連携も強まるだろうし、神と巨人との間も平和なものになるでしょう」
バルドルという人はいつもこの調子で「全部OK」、悪いことは一つも考えないのです。
協議は二転三転しましたが、しかし、結局アース神たちはロキを迎え入れることに決定します。
神々の王オーディンが、ロキ深く気に入り、反対派をことごとく説き伏せたからです。
オーディンがロキを気に入った理由は、「ロキの中に自分の血の一部と、そして自分の肉の中の一部の臭いを嗅ぎつけた」からだと言います。(オーディンって、お母さんが巨人だから?)
オーディンはロキの美しさと奸智を褒め、またロキが持っている「空飛ぶ靴」も、アースの役に立つだろうと言って褒めました。
そして、オーディンはロキと互いの血を混ぜて義兄弟の誓いを交わしたのです。
こうして神々の王と血を混ぜたロキは、以来巨人でありながらアース神に名を連ねることになり、アースガルドに住むようになったのです。
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