【ケルト神話】聖剣エクスカリバーをゲット!変な怪獣のおかげで助かったアーサー王

2019年6月4日

アーサー王には、二つの聖剣のお話があります。

一つはすでにご紹介した「聖剣カリバーン」。石に刺さった剣を引っこ抜いて「神様に定められた王だ」と認められたお話。

しかし、このカリバーンは案外もろい剣で、アーサーが王になってまもなく、戦いの最中に真っ二つ。あんまり役に立たなかったのでした。

長らくアーサーの傍らにあってお役に立った二本目の剣は「エクスカリバー」といいます。この剣の名前は、ゲームでも漫画でもよく登場するので、知っている方も多いことでしょう。今回は、このエクスカリバーをアーサーが手に入れたいきさつをご紹介します!

王様になったアーサー、いきなり大勢の騎士に嫌われる

カリバーンを石から引き抜いて、王様になったアーサー!

都をキャメロット(イギリスの南部にあったという伝説の都です)に定め、順風満帆……とはいかなかったのでした。大勢の王様や騎士たちがやってきて、「こんな小僧を王だなんて認められるか!殺すぞ!」と脅してきたのです。

この頃、イギリスはまだいくつものグループに分かれていて、たくさんの力のある王や騎士たちが乱立していたのです。

そこへ、いつも都合よく登場してくれる魔法使いマーリン。マーリンはアーサーがピンチになると、どこからともなく現れて助けてくれる、ドラえもん的キャラなのです。

マーリン、殺気立つ騎士たちに向かって大演説。「皆様方、剣を収められよ。このアーサー王こそ、全ての王となられる方なのだ。かの名君ユーサー・ペンドラコンのただ一人の王子であられるのだぞ!」(名君だったの?かなり疑問ですが)

「ユーサー・ペンドラコン王は麗しきイグレーヌ姫との間にアーサーをもうけられたのだ」

というマーリンに「じゃあ私生児じゃないか!」と鋭い突っ込み。

「いや、違う。ユーサー・ペンドラコン王はイグレーヌの夫ティンタージェルが死んで3時間もたってから、ティンタージェルに姿を変えてイグレーヌと結婚されたのだ。断じて私生児ではないのだ!」(私生児より最悪だろうと思われます……)

「アーサーのために、アヴァロン(イギリスのどっかにある、妖精たちの国。異次元の世界で、湖とか洞窟とかからいきなりたどり着ける、らしい)で妖精たちが剣を鍛えておる。エクスカリバーという剣だ。この剣でアーサーはたくさんの国を征服するだろう」

この演説で、なぜかみんな納得。アーサーは何とか無事に認められたのでした。

アーサー、変な怪獣と変な騎士に出くわす

あるとき、アーサーは家来を連れて狩りに出発。一人で鹿を追っていたアーサーですが、(一人になってしまったあたり、あまり人気がなかったと思われます)疲れて居眠りします。

と、そのとき突如として目の前に変な怪獣が登場。その怪獣はトコトコと泉にやって来たのですが、お腹のあたりから物凄い犬の鳴き声(犬を三十頭集めたくらいの鳴き声)を発しているのでした。怪獣はやがて水をぐびぐびと飲み始めましたが、飲んでいる間、お腹の鳴き声はピタリとやみ、飲み終わるとまたやかましく鳴き始めました。

アーサーがあっけにとられている間に、怪獣はどっかに行ってしまいました。アーサーは驚いたのですが、まだ眠いのでまたひと眠り。

そこへ一人の騎士がやってきて「おい、そこの騎士。ここへ不思議な怪獣がやってこなかったかね」

「見ましたよ。あの怪獣をどうするつもりですか」

「わたしはあの怪獣を追っているペリノーという騎士だ。わたしの一族しか、あの怪獣を倒すことはできないという運命なのです。だから、こうやって怪獣を長いこと追っているのです。(なんだかよく分からない運命の持ち主ですが、この騎士は真剣なので突っ込みは禁止のこと)とにかく、この馬はもらいますぞ」

それで、ペリノーは勝手にアーサー王の馬を乗り逃げ。アワアワしているアーサーを置いて行ってしまったのでした。

アーサー、ペリノーと馬鹿馬鹿しいケンカをする

城に帰ったアーサー、みんなでのんびり飲んでいるところへ、いきなり死体を引っ担いだ男が泣きながら飛び込んできました。

「わたしの主人がいきなり殺されました!犯人はペリノーというボスキャラ的バカ強の騎士です。ペリノーは道の真ん中に突っ立っていて、通行人をわけもなく殺すのを習慣にしているのです。頼むから仇を取ってください」

もちろん、アーサー王は家来の騎士を遣わして、ペリノーを討とうとします。(ペリノーはさっき出てきた、怪獣を追っている変な騎士)

しかしペリノーは噂通りの強すぎの騎士。家来は全然歯が立ちません。しかも「なんで通行人を殺すのですか」と尋ねると、「そーゆー習慣にしてるんだから仕方がない」と意味不明な答え。さても迷惑な騎士だったのです。

とうとう、アーサー王自身がペリノーと一騎打ち。さんざん打ち合ったあげく、アーサーは血みどろ。ペリノーは無傷。しかもアーサーの剣カリバーンは真っ二つに割れてしまいました。

「次が最期だ!」っと打ちかかるペリノー。アーサー、一巻の終わりか……と思ったとき、またしても魔法使いマーリンが登場。一瞬でペリノーを眠らせて、アーサーを助けました。どこまでもドラえもんなマーリンなのです。

ちょっとここで寄り道。アーサー王初盤で最強の騎士ペリノーと、三国志最強の呂布はどっちが強いかな?

話を戻して……

「助かったよ、マーリン。でもどうしよう。わたしの剣は割れてしまった」

よよと泣きすがるアーサー。アーサー王は「気高い王」とされていますが、けっこう愚痴っぽくてすぐに泣き言をいう癖があります。

「まあまあ、泣くんじゃありませんよ。わたしに任せなさい」

意気揚々と歩いていくマーリンについていくと、やがてアーサーの前に神秘の湖が広がりました。

エクスカリバーをゲット!湖の姫に無理難題を押し付けられるアーサー

アーサーとマーリンの前に、突如として広がった湖。海かと見まごうほどに広く、風一つない湖面は鏡のごとし。水は神秘の青を秘めて澄み渡っていました。

その湖の中ほどに、美しい絹をまとった腕が一本突き出していて、その手が見事な剣を握っていました。剣は金の柄に美しい宝石をちりばめていて、その剣が収まった鞘もベルトも宝石が輝いていました。

「ご覧なさい。あそこにあなたの剣がある。あれは、妖精の国アヴァロンで作られた剣です。この湖は、アヴァロンに通じる出入り口なのです。いつか、あなたはこの湖の向こうにあるカムランの平野で最後の戦いをし、倒されて、この湖にやってくるでしょう。そして、妖精たちにこの剣を返し、永遠にアヴァロンの地へ旅立つ時がくるでしょう。でもそれまでは、あの剣エクスカリバーはあなただけのものです。エクスカリバーは正義のためだけにしか使えず、あれで切られたらどんな敵も無力になります。今こそ、エクスカリバーはあなたの手に渡るときなのです」

こうマーリンが言ったとき、湖の上を美しい乙女が歩いてくるのが見えました。

「あれは湖の姫ですよ、アーサー王。あの姫にうまく取り入って剣を手に入れるんですよ」

姫がすぐ近くまでやって来たので、アーサーはニコニコと話しかけます。

「ごきげんよう。乙女よ」

「アーサー王、あの剣はわたくしのものです。あれを手に入れたいとお思いになりますか」

「それこそ、わたくしの望むところです」

「では、かわりにわたしの望みをかなえてください。近く、わたしはあなたにおねだりに行きますが、きっとかなえてくださいますね」

何やら危険な望みですが、アーサーはあっさり承知。

「あなたの望みならば、何であれ、なんなりとお与えしましょう」

契約は計画的に……。姫が何を望んでいるかもよく聞かないで、アッサリ聞き入れてしまったアーサー。あとで痛い目に合うのですが、それはまた別の話。

「では船に乗って、剣を手に入れなさい」

と言われて、ウキウキと船に乗り込みます。小舟は漕いでもいないのに、何かに引っ張られているようにスイーっと手の方へ進んでいき、手前でピタリと止まりました。アーサーが剣を手に取ると、不思議な手はスッと水底へ消えていきます。

こうして、アーサーはエクスカリバーを手に入れたのでした。

エクスカリバーが気に入ったと言ったら、マーリンに文句言われるアーサー

エクスカリバーを手に入れて、ウキウキと帰路につくアーサーとマーリン。途中で、例の強すぎのペリノーに出会います。

しかし、ペリノーは目を血走らせてスタスタと立ち去ってしまいました。アーサーに目もくれません。

「あれ?」と思っていると、マーリンが

「彼は例の『吠える怪獣』を追っているので忙しいんです。大丈夫です。彼と彼の二人の息子は、やがてあなたの家来になってたくさん働きますよ」

マーリンは魔法使いなので、何でも知っているのです。

「ところでアーサー王、あなたは剣と鞘と、どっちがお好きですか」

「そりゃ、剣の方に決まっているさ!」

アーサーが即座に答えると、マーリンは首を振って

「それは、あなたが愚かな証拠ですね。その鞘の方が、剣の何十倍もの価値があるのです。その鞘は強力な魔力がかかっていて、鞘を身に着けている限り、あなたは切られても血を流すことはないのです。鞘を大事になさい」

そんなこと、言われなきゃ分かりっこない理屈なのですが、「言われなくても分からなきゃならないこと」で、「言われなくても分かる奴が優れている」ということなのでしょう。

ともあれ、ついにエクスカリバーをゲットしたアーサー!この剣は引き抜くと三十の松明を焚いたように光り輝き、引き抜くだけで目がくらんで敵は逃げ出し、しかも剣のくせに変化自在で、船になったり傘になったり、つまようじになったり……。

この剣のおかげでアーサーは王として長く君臨し続けたと言っても過言ではありません。マーリンが言った通り、アーサーが最期の戦いに敗れて、妖精たちに剣を返すその時まで、ずっとエクスカリバーはアーサーの傍らにあったのでした。

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