【北欧神話のあらすじ】ロキ、小人にミョルニルとグングニルを作らせる
北欧神話の超有名な武器と言えば、トールが持っている百発百中のハンマー、ミョルニル。それからオーディンの槍グングニルで決まりでしょう!
ところで、このお宝、実はロキが小人たちに作らせたものなんです!ロキはこの二つだけでなく、他にも珍しいものをいろいろと神々の為に作らせました。
今回はその時のエピソードを紹介します!
北欧神話のあらすじ!どこよりも分かりやすい完全保存版!
ロキは北欧神話最大のスター!能力から武器まで徹底解説!
ロキがアース神の仲間入りをしたお話はこちら↓
【北欧神話のあらすじ】ロキ、アース神の仲間入りをする
主な登場人物
・ロキ
・トール
・シフ
・イーヴァルティの息子たち(小人)
・ブロックとエイトリ(小人)
ロキ、いたずらでシフを丸坊主にする
いたずら大好きのロキは、ある時トールの館に忍び込んで、トールの奥さんシフの寝室に入りました。
この奥さん、まるで金色の小麦畑のような見事な金髪を持っていたのですが、ロキは懐から小刀を取り出すと、その髪の毛をショリショリとそり落としてしまいました。
床に髪の毛が塊になって落ちたのを見届けると、ロキはニヤニヤ笑って満足気に退出。シフの頭は哀れ丸坊主に……。
翌朝、目を覚ましたシフは大号泣!
「ひどいわ!こんな恥ずかしい頭になるなんて!全部ロキのせいに決まってるわよ!」
頭にいろいろな飾りをつけてみても、ちっともマシにはなりません。奥さんがますます泣き悲しむのを見て、トールはマジギレ!
いきなりロキをひっ捕まえて怒鳴りつけました。
「この野郎、どういうつもりだ!ええい、どうしてくれる!」
締め上げられて宙ぶらりんになったロキは、「ただの冗談だよ」とヒイヒイ言いましたが、トールは容赦してくれません!
「それで一体、どうしてくれるつもりなんだ!元に戻せ!」
「分かったよ、元に戻すよ。必ず元通りの頭にするからさ。地面に下ろしてくれよ」
「よし、元に戻せよ。さもないと、俺はお前の体中の骨をこなごなにしてやるからな!」
言ったとたん、トールはロキを地面にポイッ。
やっと自由になったロキは、服装を整えると、突然いたずらっぽくトールにウインクして、風より早くアースガルドから黒妖精たちの国へ飛んでいきました。
ロキ、小人のイーヴァルティに髪の毛を作らせる
さて、まっすぐに黒妖精たちの国(小人が住んでる国)へやって来たロキ、仲良しのイーヴァルティの家にやってきました。イーヴァルティの息子たちは、大変な名工ぞろいなのです。
「君たち小人たちだけが、本当に素晴らしい金銀細工師だからね。それにきっと、シフの髪の毛をつむぐことができるのは、小人たちの中でもイーヴァルティの息子たちだけだろうからね」
と、ロキは小人たちをそれとな~くおだてまくり、その気にさせます。
小人たちはさっそく作業に取り掛かり、炉の中に薪を詰め込んで、黄金の髪の毛をつむぎ始めました。
ロキはその作業を目を丸くして見つめていましたが、彼が驚いているとき、その目は赤や緑色にきらめいていました。
小人たちはまたたくまにシフの為の髪の毛を作ってしまいます。この髪の毛は美しいだけでなく、魔法がかかっているので、肉に張り付いてちゃんと伸びるように作ってあるのです。
「このまま火を消してしまうのはもったいないな。せっかくだから、他のものも作ってみよう」
と、小人たちは仕事をやめずに、続けて船と槍を作りました。
この船はスキーズブラズニルといって、すべての神々を乗せるほど大きくなるし、必要のない時には布切れのように折りたたんで、財布の中に入れておくこともできるのです。
また槍はグングニルといって、百発百中、決して狙いを外すことはないのです。
「こりゃ、素晴らしいな」
と、ロキはこの三つの宝物を受け取って、十分にお礼を言うと、さっそうと外へ飛び出していきました。
ロキ、アブに化けて小人のブロックをいじめまくる
イーヴァルティの家を後にしたロキでしたが、真っ直ぐにアースガルドへ帰る気はありませんでした。
彼はこの近くに、ブロックとエイトリの館があることを思い出して、そちらへ足を向けたのです。
「やあ、ブロック、エイトリ、しばらくだったね。ところで、どうだね。今日俺が持っている宝物はさ。これほどの仕事を、君らは今まで見たことがあるかね?こんな完璧な名工の腕前をさ」
わざとイーヴァルティの仕事をほめちぎって、ロキはブロック兄弟の嫉妬心をあおりまくります!
「そんなことないさ。俺たちはもっといい仕事ができるね」
「へえ!これに負けないくらい?」
「いや、もっと見事なやつさ」
「まさか!そりゃ無理だね。無理な方に、ぼくは自分の頭を賭けたっていいね」
「よし!じゃあ作って見せようじゃないか!俺たちが勝った時にはロキ、お前の頭をもらうぞ」
こうして妙な賭けをしたロキとブロック兄弟。ロキは隅っこに座り込み、ブロックたちはどたばたと仕事を始めました。
ブロックは必死に火を起こして、ふいごを押しまくります。エイトリは黄金を槌で叩き始めました。
「ブロック!ふいごを押すんだ。何があっても、この黄金を加熱炉から引き出すまではふいごを止めるなよ!」
ロキは後ろの方でにやにやしながらこの様子を見ていましたが、ふいに一匹のアブに姿を変えると、ブロックの手をいやというほど刺しました。
ロキは始めっから、この兄弟を失敗させるつもりだったのです!ちょこっと失敗させて、多少きずものになったお宝をもらおうという魂胆。頭をやる気もありません。超ずるい奴です!
でも、ブロックは無理矢理やせ我慢してふいごを止めませんでした。
兄弟は一つ目のお宝、黄金のイノシシを作って、二つ目のお宝に取り掛かります。
再びブロックはふいごを押し始めましたが、ロキもまたアブに変身して、今度はブロックの首筋をグサッと刺しました。
ブロックは「ギャア!」と悲鳴を上げますが、さすがは名工!手を止めることはしませんでした。
こうして二つ目のお宝、魔法の腕輪ドラウプニルが出来上がります。
ブロック兄弟はいよいよ三つ目のお宝に取り掛かりました。ブロックは必死にふいごを押し続けます。
が、またもやロキは邪魔にかかって、今度はブロックの両目のまぶたをいやというほど刺したのです。
目の上に血が流れたので、さすがのブロックも血をぬぐうためにふいごから手を放しました。
が!エイトリは超一流の名工だったので、ちゃんと三つ目のお宝を作り上げました。これがハンマーのミョルニルです。
ただ、ちょっとの間ふいごが止まったために、ミョルニルの柄の部分は少しだけ短くなってしまったのです。
……ロキから散々邪魔されたにもかかわらず、三つのお宝を見事に作り上げた兄弟。職人魂とはこのことです!
「よし、できたぞ!これを持ってアースガルドに行って、お宝鑑定してもらおう!そしてロキの頭をもらうんだ!」
ロキはとっくにアブから元の姿に戻っていて、「ああ、できたのかい?」と、のんびり聞きました。
お宝判定!勝つのはどっちだ!
ロキとズタボロになったブロックはお宝を持って、アースガルドへ行きました。神々は全員集まって、驚いてお宝を見つめましたが、判定者はオーディン、フレイ、トールの三人に決まりました。
まず、ロキがシフの髪の毛、黄金の船、グングニルの槍を見せました。
髪の毛はシフに、黄金の船はフレイに、グングニルの槍はオーディンに手渡されます。
次にブロックが、ドラウプニルの腕輪をオーディンに、黄金のイノシシをフレイに、ミョルニルをトールに渡しました。
どれもこれも驚くべき魔法を駆使したお宝でしたが、でも「一番素晴らしい」と判定が降ったのはミョルニルでした。
巨人たちとの戦いで、最も役に立つに違いないのは、このミョルニルだったからです。
「君だ、ブロック。君が勝ったぞ」
と、オーディンが判定を下すと、ブロックは狂喜乱舞!
「よし!オレが勝った!さあ、ロキ、その頭をよこせ!」
「え!ちょっと待ってくれ!ぼくの頭を手に入れて、何の役に立つんだい!何にもなりゃしないぜ!代わりに同じ重さの金をやるよ」
ロキはうろたえまくって叫びましたが、ブロックはすでにナイフを抜いて、
「そんなもんはいらんね。俺はあんたの頭が欲しいだけさ」
神々は、さしものいたずら者が困り果てているのを見てバカ受け!ゲラゲラ笑ってます。ロキは進退窮まって、
「それじゃ……そんなに言うなら、この俺を捕まえてみろ!」
と叫んで、「空飛ぶ靴」で矢のように走り去ってしまいました。
ロキ、ブロックに拷問される
頭を切り取ろうとしたのに、目の前でロキに逃げられたブロック、
「何とかしてくれよ!ロキの頭はオレのものだ!トール、捕まえてきてくれよ!」
と、キイキイ声をあげてトールに泣きつきます。
トールもミョルニルをもらった手前、ブロックに恥をかかせちゃいけません。すぐさま追いかけて行って、ロキを小脇に抱えて戻ってきました。
「よ~し、さあ、ロキの首を斬るぞ!」
ナイフをピカピカさせて近寄るブロック。でもロキは「ちょっと待った!」と、片手をあげて、
「そうさ、確かに約束したから、頭はお前さんのものさ。だが、首は違うぞ!首は俺のものだ。君は俺の首をちょっとだって取ってはいけないんだからな!」
この言葉に、「ええ!」と驚くブロック。
神々は、はなからロキを死なせる気はなかったので、ニヤニヤしながら聞いています。
「くそっ、畜生!」
ブロックはまんまとロキにハメられたことを知って、悔しがりましたが、やがてロキをにらみつけて、
「よし、あんたの頭はオレのものだな?じゃあ、せめてお前の調子のいいおしゃべりをやめさせてやろう。針を使って、その唇を縫い合わせてやるからな」
ロキはぎょっとしましたが、小人はマジです!
嫌がるロキを無理矢理押さえつけ、霧で唇に穴をあけ、革ひもでしっかりと唇を縫い合わせてしまいました!
ロキは館から走り出ると、必死に革ひもを抜き取りましたが、あまりの激痛に悲鳴を上げたということです。
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