【日本神話】オノゴロジマの誕生

2019年4月14日

天地の始まり

「天地初めて別れし時、高天原に成れる神の名は……」これが、日本神話の最初の言葉です。遠い昔、宇宙はどろどろとした、卵の中身のような状態であったと言います。「卵の中身」、つまり、今はどろどろと形の定まらない状態であるけれども、生命力に満ち、果てしないエネルギーで、新たな何かを創造する「卵」であったということです。

ここから最初に産まれた神は、アメノミナカヌシ(天之御中主)の神。次にタカミムスビ(高御産巣日)の神。カムムスヒ(神産巣日)の神。

どうでもいいことですが、日本神話の神々は、みんな馬鹿みたいに名前が長いのであしからず。神様の性格とか特徴を無理やり名前の中に押し込むので、訳が分からないほど長い名前になるのです。

この3柱(日本語で神様は1柱、2柱と数えます)の神は「ひとりがみ」でした。つまり、男でも女でもない。萌え出ずる生命力そのものであったということです。「ムスヒ」とは漢字で「産す霊」と書きます。この3柱の神々は、一番最初に堂々と出てきたくせに、登場シーンはここだけ。後は出てきません。それもそのはずで、彼らは宇宙の「生命エネルギー」そのものなのですから、人格をもって活躍するわけではないのです。

「ひとりがみ」の後、陰陽二つに分かれた存在が現れます。この頃、下界は一面の原初の海が広がり、その中にクラゲのように原初の大地が漂っていました。そこに美しい葦(あし)の芽が生じます。そこから生まれた神が、クニノトコタチ(国之常立)の尊(みこと)。そしてウマシアシカビヒコヂ(宇摩志阿斯訶備比古遅)の尊。

古代の言葉で「トコ」は土。「アシカビ」は生命。この神々は「土と生命」という、原始的な二つの存在を表しているのです。葦は日本神話で神聖視される植物。日本の古代における名は「葦原の中つ国」。葦の生い茂る国、という意味なのです。

この後も次々とわけのわからない神々が生まれ続けるのですが、そこは面倒くさいのでカットします。最後に、いよいよ最初の男と女。イザナキ(伊邪那岐)とイザナミ(伊邪那美)が産まれるのです。

イザナキとイザナミがオノゴロジマを創る

初めに「生命エネルギー」、次に「土と生命」、最後に「男と女」。世界は徐々に形作られて、あらゆるものを生み出す準備ができたのでした。

天の神々(これが誰だかよく分からないのですが)が、イザナキとイザナミにアメノヌボコという矛を渡して、「これを使って、下の世界を完成させるように」と、極めて大雑把な命令をします。

2人は矛を受け取って、これまたいつの間にできたのか分かりませんが、「天の浮橋」という橋の上に立って、原初の海に矛を差し込み、コオロコオロと音を立てながらかき回しました。おそらく、「天の浮橋」とは虹のことなのでしょう。この天と地をつなぐ不思議な橋は、多くの神話に登場します。播磨の国には、昔、天に届く石の橋があったとか。百人一首に出てくる「天の橋立」も、この橋のことなのです。

さて、イザナキとイザナミが矛で海をかき回し、矛を水の上に引き抜くと、その先から塩がぽとぽとと落ちて固まり、島になりました。これが「オノゴロジマ」。日本の最初の国土なのです。

出版した本

三国志より熱を込めて三国志より熱を込めて 通勤時間で読める三国志
ショートショートのエッセイで書き下ろした三国志。 呂布、孫策、周瑜、曹操、馬超、劉備などの英雄たちの人生を、ショートショート一話ずつにまとめました。 英雄たち一人一人の人生を追いながら、三国志全体のストーリーに迫ります。
あなたの星座の物語あなたの星座の物語
星占いで重要な、黄道十二星座。それぞれの星座にまつわる物語を詳しく紹介。 有名なギリシャ神話から、メソポタミア、中国、ポリネシア、日本のアイヌ神話まで、世界中の星座の物語を集めました。
曽我兄弟より熱を込めて曽我兄弟より熱を込めて
日本三大仇討ちの一つ、曽我兄弟。鎌倉時代初期、源頼朝の陣屋で父の仇討ちを果たしたという、実際にあった大事件です。戦前は誰一人として知らない者はいなかった兄弟の物語ですが、現代ではほとんど知られていません。 本書では、知識ゼロからでも楽しんで読めるよう、物語の見どころを厳選してエッセイにまとめました。
新講談 山中鹿之介新講談 山中鹿之助
「我に七難八苦を与えよ」と三日月に祈った名将、山中鹿之介。 戦国時代、出雲の小国尼子は、隣国毛利に滅ぼされる。主君を失った尼子の家臣は、皆散り散りに――。しかし、ただ一人、山中鹿之介は主家の再興を目指して、ひたすら戦い続けるのだった。 戦前、講談で大人気を博した山中鹿之介の人生。兄から託された三日月の兜(かぶと)、鹿と狼の一騎討、布部山の大戦、上月城の壮絶な最後など、見どころを厳選してまとめた、新しい講談本。
忠臣蔵より熱を込めて忠臣蔵より熱を込めて
江戸時代から長く愛され続けている忠臣蔵の物語。四十七士の内、大石内蔵助、武林唯七、堀部安兵衛、杉野十平次、岡野金右衛門、赤垣(赤埴)源蔵に焦点を当てて、全体のストーリーを追います。広く知られている講談や芝居のエピソードから、覚書や遺書に見られる史実の姿まで紹介します。