本を書いても応募できる賞がない!それでも根性で出版する方法
こんにちは、坂口螢火(けいか)です。
著者の皆さんにとって最大の悩みは、「どうやったら出版できるか?」だと思います。
このたび、わたしは「出す賞がないので持ち込みで出版」「紙ベースは出版社で出し、電子版は個人で出版(中身は同じです)」という少々変わった方法で出版しましたので、その経緯を紹介します。
何かの参考になれば幸いです!
ちなみに、出した本はコレです↓
「三国志の影――脇役たちの物語」、全10巻です!
ヤバいくらい賞がない……
本を出版する方法は、やっぱり新人賞をとることが王道ですよね!
わたしもせっせと応募してました。文芸社の歴史文学賞をはじめ、年に3つくらいのペースで出していたのですが……。3年位前からにわかに雲行きが怪しくなってきます。
なんと、賞自体が立て続けに終了してしまったのです!
これはマズいです。作家にとってサイアクの状況です。
慌てまくったわたしは、「他に出せる賞はないか」と散々ネットで探したのですが、これがうまくいきません……。わたしの作品は
・小説じゃなくて随筆
・歴史モノ
・かなり長編(約16万5千字)
という、けっこう特殊ジャンル。歴史モノの賞は、ことごとく「小説」か「専門書」を受け付けるもので、随筆はお呼びじゃないのです。
それじゃ、随筆モノの賞はというと……これが5千字くらいの短編だけしか取り扱っていなくて、これもアウト。
ココナラでは「プロの編集者があなたの作品にピッタリ合う賞を教えます!」というサービスがあるので、これも利用してみたのですが、
「う~ん、歴史モノはそもそも、ほぼ賞がないんですよね……。それも小説を取り扱うものばかりです。どうでしょう、小説に変えてみたら?」
エ……(;”∀”)
わざわざ小説じゃなくて随筆にしてるのは、それなりの理由があるからなのに……(理由は長くなるのでここでは割愛します)。
手づまりです……ここで、わたしは新人賞に応募することを断念したのでした。
持ち込みに決める
出版するには、大きく分けて4つ方法がありますね。
・個人で出版(kindleとかでお金かけずに出版)
・自費出版する(幻〇舎とかでお金かけて)
・新人賞に出す(今回挫折)
・持ち込み
この中で一番簡単なのは「個人で出版」ですね!今は便利なもので、kindleで誰でも簡単に出版できます。しかも頑張ればペーパーバック版で紙の本にすることも(^^)
ただし!問題は「出版社から出すわけじゃないので、編集なし、校正なし」おまけにカバーもなし。それに「読者からの信用も薄い」ってことです。誰だってkindleで個人が出してる本より、集〇社や講〇社からカバー付きでカッコよく出てる本の方が信用できますよね。
あと、編集や校正やフリーランスに頼むという手段がありますが、これはこれでバカ高いハードルが……。
ぶっちゃけ、編集や校正は高いです。2、3万字くらいだったら大したことないですが、そこから1万字ごとに値段が跳ね上がります!わたしのように16万字を超える作品だと、18万円くらいのお値段に……。
次に自費出版ですが、これは論外です。わたしは1度自費出版したことがありますが、編集は誤字脱字チェックくらいで、ろくなもんじゃありません。
これは、出版社は著者からお金もらってる時点ですでに儲けが出てるので、
「売るためにいい作品を作らなきゃ!」
という意欲がないからです。当たり前ですが、売る努力も全くしてくれません。
――こうしたわけで、わたしは今回「持ち込み」してみることにしました!
企画のたまご屋さんに出してみる
持ち込みしたことがある方はご存知かもしれませんが、「企画のたまご屋さん」というところがあります!
よく、元編集者の方が「出版プロデューサー」として、著者から原稿を預かり、その作品にピッタリの出版社を選んで仲介してくれるというサービスがあります。
この「出版プロデューサー」に頼むと高確率で出版してもらえるのです、が……。ぶっちゃけ高いです。
その点、「企画のたまご屋さん」が優れているのは、「ただでやってもらえる」のですね~(^^)
この「たまご屋さん」、「原稿の見本」と、「企画書」、「構成案」を揃えて提出すればエントリー完了。「たまご屋さん」がオビタダシイ数の編集者に企画を配信してくれて、企画に興味を持った人が連絡してくれる――という仕組み。
「たまご屋さん」のホームページには「成功者の企画書」が何通も掲載されているので、わたしも真似して企画書づくり。3日ほどかけて「原稿見本」「企画書」「構成案」を作製して、いざエントリー!あとはひたすらお返事を待ちます……。
が、2週間ほどして、
「企画のたまご屋さん」では、歴史モノはほぼ扱っておりません。この度は残念ですが……。
とのお返事!
わずか2週間で撃沈してしまいました……。
ひたすら持ち込みしてみる
諦めるのは、まだ早いです!世の中には案外たくさん、「原稿募集」をしている出版社があります。大手で募集しているところは皆無ですが、中小出版社なら随時受付しているのです。
「たまご屋さん」がダメなら、自分の手で1社1社、企画書を送ればいいのです!
なので、ネットで「原稿」「募集」「歴史」というキーワードで、歴史作品を募集している出版社をピックアップし、執念で30社ほど探しました!
「たまご屋さん」の時に作った企画書をもう一度揃えて、ピックアップした全社に送信!「たまご屋さん」では成功しませんでしたが、いい企画書の見本を参考にできたことは大収穫でした(^^)
送ったら、再度待ちの態勢です。
それにしてもですね~。ほとんどの出版社は、
「原稿を受け取りました」
の自動配信メールすらないんです。
送った側からすれば、「ちゃんと届いたかな……?」と不安になりますよね。自動配信メールくらい送ってほしいものです。
3件からOKの返事が来る!
出版社に持ち込み原稿を送ると、OKの場合のみ、1カ月で返事がきます。
わたしの場合、約30社送って、そのうち3件から返事がきました!
ところがそのうちの1社は
「三国志ですか!うちでも三国志を出そうと思ってたところなんです!今回、商業出版でお引き受けします。お値段は約80万円で……」
……商業出版。で、80万って……?
即却下です。それからもう1社は、
この出版社、仮にB社としますが、ここは社長自ら喫茶店で会ってくれまして、長々と相談。
「カバーはこんな感じで、全体の文字数はこのくらいで、そうですね、やっぱり四六判にしましょうか」
と、2時間くらい話し合い、その数日後には出版契約書を送ってもらって、着々と準備が進みました。
ところが!契約書をもらってからしばらくして、いきなりメールで「やっぱり考えさせてください」。
エ、何それ……(;・∀・)
出版社って、どこもイイカゲンな所ばっかりなんでしょうか……。
結局、最後に残った1社に決まって契約しました。「共同出版」という形で、数万円かかりました。
「出版が決まる」がゴールじゃない
こうして、何とか出版社から出すことが決まった「三国志」ですが、やれやれ、これで安心、というわけではなかったのです。
共同出版は、ここからが大変です……。
まず最初の打ち合わせで、
「この作品、とにかく古いですね。このしゃべり方とか古いですよ。七十代くらいなら読むかもしれないけど、その層がなくなったら、もう読まれないんじゃないですか」
「ターゲット層、狭いですね~。ゲームや漫画や映画で三国志を知った人って……どのくらいいるの?」
「僕は三国志を読んだことないから良く分かりませんね」
と、こんな感じ。「じゃあ、あなたはどうしたらいいと思います?」って聞き返したいところですが、そこは「共同出版」で、編集者は「これ以上は自分の仕事じゃない」ので、ヘルプは一切なしなのだそうで。
「共同出版」だと、校正もしっかりしたものじゃありませんでした。
数か月かけて原稿を直して、「どうぞ!」と、提出したのですが、原稿が返却されたのが、その2日後。
「エ?!もう?16万字以上あるのに?」
今まで、出版社からこんなに高速で原稿を返されたのは初めてです。一番早い時でも1週間ちょっとでした。仰天して返された原稿に目を通したのですが、
「これ……ちゃんと読んだのかな?」
見逃された誤字脱字が、何か所もあったのです。わたしが気付かなかったら、このまま出版されてしまうのに……。
他にも色々とトラブルはありましたが、こんなのはまだどうでもいいんです。
一番ぶっ飛んだのはコレです。
「電子書籍にルビはつけられません。Amazonkindleにルビを付ける技術は、今のところないですよ」
「エエッ!」
いやいや、何を言ってるんでしょうか。わたしはこれまで何冊もkindle本を出しましたが、ルビ付けましたよ?「電電コンバーター」で簡単に付けられるじゃないですか……。それに、いろんな出版社からkindle本が出てるけど、みんなルビがありますよ?
散々「付けられますよ。今まで何度もやったし、ちゃんとルビ付きの電子版のデータをそちらに送りますから」
と言ったのですが、「ルビの文字はカッコでくくればいいじゃないですか」と!
つまり……劉備玄徳(りゅうびげんとく)←こういうこと!
いや……そんなのダメですよ。三国志ですよ?人名、地名、旧字体と、たぶん1,000近くはルビがあるのに。それを全部カッコでやれと?読みづらいったらありゃしませんよ!
「電子版は自分で出そう」
と、決意したのはこの時です。
このままだと、電子版は絶対におかしなことになる。自分の作品なら、自分で守らないと……。
わたしが電子版を自分で出そうと思った理由は、もう一つあります。
「この作品に対して、一言たりとも感想をもらったことがないな……」
ということです。
契約を交わして、7カ月が経ちますが、わたしは「ここが良かった」とか「こう思った」とか、1度も言われたことがないのです。
一片たりとも情があれば、たとえ「共同出版だから感想や講評を言う義務はない」という前提があったとしても、何かのついでにメールで1、2行くらいの感想は書くだろうと思うのです。
それがないのなら、もう「この作品に対して、まったく愛情がないのだ」と思う他ありません。
まともに校正をしない時点で、「世の中に出しても恥ずかしくない作品を出そう」という気がないことは明らかだし、感想を言わないなら「作品に愛情がない」としか考えられません。
そして、愛情がない作品に対して、売る努力をしてくれるとも思えません。
数万円払っている時点で、向こうは多少なりとも利益を得ているわけですし……。(こちらは売ることを考えなければなりません、としきりに言ってきますけれども)
結局、信頼関係がなければ任せられない
こうしたわけで、このたび、「紙は出版社から」「電子は自分で」出版することになったのです!
ここまで長々と書いていて、結局わたしが何を言いたいかというと、
「著者の夢は、堂々と出版社から本を出すことだけど、愛のない出版社から出してはいけない!」
ということです!
今回、つくづくと思いました。
「出版社から出す」ということに、わたしが必死になったのは、
・出版社から出さないと、読者の信用が薄い。
・出版社なら編集や校正を受けられる。
と、思ったからですが、散々努力してようやく出版社から出すことに決まっても、そこが愛のない出版社だったら、
・まともな編集や校正は受けられず
・否定ばかりされて、助言は一言もなく
・ルビさえつけてもらえない、ひどい本にされる
のがオチです。結局、作品をメチャクチャにされてしまうのです。しかも、利益のほとんどは出版社が持っていくのです。
わたしは出版社とほとんど喧嘩腰で「電子は自分で出す」と押し切りましたが、それでよかったと思っています。
わたしの場合は、「歴史モノ」というあまりにもコアなジャンルで、全然出版社を選ぶ余地がありませんでしたが、小説を書いている方、ビジネス書を書いている方、「返事をもらった」からって、すぐには決めないでください。
自分の作品を心から思ってくれる出版社を選んでくださいね!