【北欧神話のあらすじ】トールがミョルニルを紛失!必死に助けるロキ
とっても陽気で馬鹿力。お日様みたいな赤ひげで筋骨隆々。百発百中のハンマー、ミョルニルをいつも振り回しているトールは、北欧神話の人気者!
北欧神話で数少ない、とっても性格のいい神様!絶滅危惧種レベルです!
でもトールはおっちょこちょいなので、一度お宝ミョルニルをなくしちゃったことがあります。今回はそのエピソードを紹介します!
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トールってどんな神?ハンマーを持つ雷神を徹底解説!
主な登場人物
・トール
・ロキ
・スリュム(巨人)
・フレイヤ
・ヘイムダル
ミョルニル紛失!ロキに泣きつくトール
ある朝、トールが目を覚まして枕もとを探ると、何と、ミョルニルがありません!
トールは寝てるときも肌身離さずミョルニルを側に置いているのですが、それがなくなっているのです!
慌てまくったトールは必死になってベッド中捜し回りましたが、全然出てきません。トールは半泣き状態で、館から飛び出していきました。
絶体絶命のトールが頼りにするのは、知恵者のロキです。トールはロキに縋り付いて、必死に頼み込みます。
「聞いてくれ、ロキ!朝起きたらミョルニルがなくなってたんだ。あれが盗まれてしまったんだ!」
「まあまあ、落ち着けよ、トール。アースガルドのどの神もハンマーを見ていないし、ミッドガルドの人間たちも見ていないそうだ。だったら盗んだのは巨人だろう。おれが捜してきてやるから」
このままハンマーが見つからなかったら、「神々の力が弱くなったぞ!今がチャンス!」と、巨人たちが攻めてくるかもしれません。
トールとロキは大急ぎでフレイヤの館セスルームニルへ行って、フレイヤに頼みました。
「フレイヤ、あなたの助けが必要なんですよ。トールのハンマーを捜しに行けるように、あなたの鷹の衣をぼくに貸してくれませんか?」
「大変なことですもの。もしこの衣が銀で作られたものだとしても貸しましょう。金でつむいだものだとしても構いませんわ」
鷹の衣というのは、フレイヤの秘密道具で、この衣を着ると鷹の姿になって自由自在に飛んでいけるというスグレモノなのです。
ロキはさっそく衣をまとって、「じゃあ、捜してくるよ」と、飛んでいきました。
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フレイヤを嫁によこせ!怒り狂うフレイヤ
さて、鷹の姿になってヨーツンヘイムをパタパタと飛んでいたロキ。
霜の巨人の王スリュムが、とっても上機嫌で馬と猟犬の世話をしているところに出くわします。
「ほほう、こりゃロキじゃないか。神々はどうしてるかね?なんだって一人でヨーツンヘイムへやって来たんだね」
スリュムが嫌にハッピーなのを見て、「ははあ、こいつが盗みやがったな」と、ロキはピンときます。
「神々の具合は良くないのさ。スリュム、あんただね。あんたがトールのハンマーを盗んだのかね」
スリュムはこう言われて、「うん、俺だよ」と、全然隠しません。相変わらずルンルン気分で
「オレがトールのハンマーを地面深くに隠してやったんだ。いいか、ロキ。フレイヤを俺の花嫁として連れてこい。そうじゃなきゃ、絶対返さないからな」
こうしてロキが再びアースガルドへ帰っていくと、待ちかねてたトールはすぐさまロキをひっ捕まえて、
「どうだった、ロキ!すぐ話せ!」
「うん、ぼくは困ったことを運んできたが、ちゃんと情報も運んで来たよ。ハンマーを盗んだのは巨人スリュムさ。そしてもしフレイヤを花嫁として連れて行かなけりゃ、あれは二度と戻らないのさ」
聞いて、トールは「え……。絶対断られるに決まってるじゃん……」と困惑。
でも仕方ないので、ロキについてきてもらって恐る恐るフレイヤの館へ。
フレイヤが出てくると、トールは口下手なのでひたすらオロオロ。見かねたロキが口を切って、
「さあ、お美しいお方。どうぞあなたの花嫁のヴェールを被ってください。僕たち二人は急がなけりゃならないんですよ。あなたはぼくと一緒にヨーツンヘイムへ行くんです。霜の巨人の王スリュムが、あなたを花嫁にお望みなのでね」
聞いた瞬間、フレイヤは怒り爆発!
怒りのあまり館の壁は震えるし、首の周りのブリーシングの首飾りははじけ飛んで宝石が雨のように飛んでいくという有様!(もったいね~……)
あまりの怒りように、トールはビビりまくってアワアワ。ロキは面白がってニヤニヤ。
「ふざけないで!さっさと出ていきなさい、二人とも!」
わめきまくるフレイヤに、二人は追い出されちゃいました。(鷹の衣はちゃんと返したのかな?)
ヘイムダル大演説。女装するトール
さて、ミョルニル盗難事件は、神々の安全保障にかかわる大事件ですから、すぐにすべての神々が集まって会議が開かれました。
「フレイヤを連れてかなきゃ、ミョルニル戻んないんでしょ?」
「でもフレイヤはイヤなんでしょ?」
「イヤに決まってんじゃん」
「じゃあどーする?」
と、バカみたいにダラダラ会議。会議が長いのは神様も一緒ですね!
そこで!鶴の一声を挙げたのは以外にもヘイムダル!
この人、ず~っとアースガルドの隅っこで、きっつい見張りだけやらされてるせいか、神話全編を通じてセリフが少なくって、活躍シーンもほとんどなくって、かわいそ~な役どころなんですが、この時に限って超長いセリフをしゃべります!
「トールをくるみましょう!トールを花嫁のヴェールにくるむんです。ブリーシングの首飾りを直すことにしましょう。そしてそれを、トールの可愛らしい首の周りにしっかりと留めるんです」
このセリフを、ヘイムダルがクソ真面目に言うので、神々は大爆笑!トールはドン引きして嫌がりましたが、ヘイムダルはまだまだしゃべります。
「あらゆる花嫁にふさわしいように、彼は美しく装わなければなりません。腰には鍵の束をぶら下げなければなりません。そして彼に似合う衣装を着せましょう。できるだけ長い衣装を!私たちは精巧な造りのブローチを、トールの胸にピンでとめるのも忘れてはなりません。それから彼には魅惑的な帽子が必要です。花嫁がかぶるにふさわしい、魅惑的な帽子ですぞ」
ヘイムダルのトール花嫁化計画に、神々は笑い死にしかけてバカ受け!トールはものすご~く嫌がってブツブツ言いましたが、
「トール、他に方法はないぞ!もしミョルニルが戻らなかったら、アースガルドには巨人たちが住むようになるんだから!」
と、ロキがたしなめたので、トールは仕方なく女装することに。
でもこれだけでは一発バレの恐れがあるので、ロキが
「僕が侍女になってついていくよ。二人でヨーツンヘイムへ行こう」
と、助太刀することになりました。ロキは変身能力がある上に両性具有なので、ヘイチャラで女になれるのです。
トール大乱闘!ミョルニル奪還!
さて、ヨーツンヘイムのスリュムの館では、「フレイヤがやって来る」と聞いて、スリュムが有頂天でのぼせまくり!
「はやく掃除しろ!ごちそう用意しろ!飾り付けしろ!ベッドメイキングしろ!」
と、使用人たちに怒鳴りまくって興奮しまくりです。やがて、女装したトールが侍女に化けたロキと一緒にやって来ると、
「さあ、食べろ。さあ、飲め」
と、肉と魚と酒を並べて、さっそくイチャイチャ。
するとトール、食い物を見たとたん、ケロッと自分が女のふりをしてることなんか忘れてしまって、ガツガツとやり出してしまいました!
なんと、牛を丸ごと一頭、サケを八匹、山盛りのお菓子、酒を角杯に三杯!
スリュムはドン引き。
「こ、これは一体……!こんな大食いの女を見たことないぞ!」
腰を抜かすほどびっくりしたのですが、ここですかさずロキが登場。
「まあ、スリュム様。実はフレイヤ様はこの八夜の間、何も召し上がってないのです。それはそれは婚礼の夜を待ち望んでおいででしたから」
と、トールをフォロー。
「エヘヘヘ(∀`*ゞ)そうか、そうか」
すっかり騙されてイイ気になったスリュム、ヴェールを持ち上げて花嫁にキスしようとします。
が、トールの目を見たとたんに飛び下がって、
「何でフレイヤの目は、こんなにすさまじいんだ!まるで燃えてる石炭みたいな目だ!」
ここでもロキがナイスフォロー。
「はい、それは、フレイヤ様はここ八夜の間、眠っていらっしゃらないのです。婚礼の夜を待ち望んでおいででしたから」
これでまた、ケロッと騙されたスリュム。完全にのぼせ上って、家来たちに命令します。
「おい、ミョルニルを持ってこい!花嫁を清めるためのハンマーを持ってくるんだ。俺たちに祝福を与えてくれるように、ミョルニルをフレイヤの膝の間に置け」
こうして、いよいよミョルニルが運ばれてきて、トールの前に置かれました。
しめたとばかり、トールはミョルニルを奪取!花嫁の衣装をかなぐり捨てて、
「きさまら、よくも俺のハンマーを盗みやがったな!思い知れ!」
と、まずはスリュムに一撃!その場にいた巨人たちを次々に叩き殺し、ロキと一緒にゆうゆうアースガルドに帰ったのでした。
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