【北欧神話のあらすじ】フレイヤとブリーシングの首飾り

2025年5月30日

北欧神話の、美と愛の女神フレイヤの一番のシンボルは、「ブリーシングの首飾り」です!

(ブリーシングとは古代ノルド語で炎のことです)

これは最高の鍛冶師である小人たちが造った、世界で一番美しい首飾りで、フレイヤの一番のお気に入りだったのです。

ここでは、その首飾りを手に入れたトンデモナイいきさつを紹介します!

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フレイヤ、ブリーシングの首飾りを手に入れるために身売り

ある日あるところで、四人の小人たちが素晴らしい首飾りを製作。(小人は彫金の技術に長けていて、何でも作れました)

この首飾りがあまりにも美しかったので、どうしても欲しくなったフレイヤは、ある晩館を抜け出して小人たちの洞窟へ走っていきました。

が、この時、後ろからロキがこっそりつけて行って、一部始終を見ていたのを知らなかったのです。

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フレイヤは小人たちに手を合わせて頼み込み。

「あなたたちの首飾りを売ってちょうだい」

「この首飾りは俺たちの傑作なんだから売れないよ」

「その首飾りを譲ってくれるなら、どんなお礼だってするわ」

ご存知の通り、美と愛の女神フレイヤは、ただでさえ美形ぞろいの神々の中でずば抜けて美しい女神。小人はフレイヤを見て

「こりゃ、最高のカモがやって来たぜ!」

と、大欲情!

「金も銀もいらんね。あんたが俺たちと寝てくれなきゃダメだよ」

「この首飾りは俺たち四人のものだから、俺たち四人全員があんたを楽しまなくっちゃ売れないね」

「一人につき、一晩じっくり楽しまなきゃダメだね」

と、条件を出しました。

こんなトンデモナイ条件、普通は断るところですが、フレイヤは億面なく「いいわ」と即答。

北欧神話では、小人はウジ虫が進化して人の形になったもので、当然醜い姿です。フレイヤは普段小人が大っ嫌いだったのですが、

「たった四日我慢すれば、この首飾りは永遠に私のものになるんだわ」

と計算。毎晩一人ずつ交代で四日かけて、首飾りを手に入れたのでした。

ロキ、フレイヤの身売りをオーディンに暴露

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さて、フレイヤは4日間小人の元へ通って、めでたくブリーシングの首飾りをゲットしたわけですが——よりにもよってロキが全部見ていたのです。

(ロキは最初の晩にたまたまビフロストの近くにいて、フレイヤが真夜中に館を抜け出すところを見ちゃったのでした)

フレイヤが小人たちと寝たことを知ったロキは

「よしよし、オーディンはフレイヤに惚れてるから、嫌がらせしてやろう」

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と、画策。まっすぐオーディンのところへ行って、

「やあ、オーディン、あんた彼女のものを見たかね?あれはあんたの目を逃れたのかね。あんたはどこにいたんだい、オーディン。君の愛している女神、君の焦がれている女神が、四人の小人たちと寝ていた時にさ」

と、回りくど~く、ねちねちと嫌がらせ。オーディンはヤバすぎるくらい怖い独裁者ですが、ロキはオーディンをからかいまくるのが大好きなのです。

オーディンはムカムカと腹を立てましたが、フレイヤが気にかかって仕方ないので、ロキの話を聞かずにはいられません。

ロキは「とことんオーディンを怒らせてやるぞ」と有頂天になって、事細かに全部話します。

すると、オーディンは

「ロキ、わしのためにその首飾りを手に入れてこい」

と命令。

「やだね」

と、ロキは一蹴。

「あんただって知ってるだろ。フレイヤの館は、守りが堅くて入れないってことを」

「首飾りを手に入れてくるんだ!お前があれを手に入れるまで、二度とお前の顔など見たくないぞ」

オーディンがマジで怒っているのを察知したので、ロキは了解しましたが、愉快で仕方ありません。高笑いしながらフレイヤの館まで走っていきました。

ロキ、ブリーシングの首飾りを奪取

その晩、フレイヤの館セスルームニルへ行ったロキ。

フレイヤは戦いの神でもあるため、セスルームニルはちょっとの隙間もありません。

ロキは変身能力があるので、虫にも鳥にもなれますが、この館には手こずりました。

しかし、虫に化けてさんざん飛び回ったあげく、屋根の下のところに針の穴くらいの小さな穴を発見!必死に身をくねらせながら、ようやく忍び込むことに成功しました。

フレイヤは何も知らずに寝ています。しかし、首飾りの留め金は首の下になっていました。

そこで今度は、ロキはノミに変身。チクリと刺すと、フレイヤは横を向きました。

こうしてロキはブリーシングの首飾りを外してポケットへ。それからゆうゆうとカギを開けて、サヨナラしたのでした。

フレイヤ大激怒!オーデンと直談判

さて、朝起きて、首飾りがなくなっていることに気づいたフレイヤは怒り心頭です!

この館に入り込むことができるのはロキぐらいだろうと分かってましたし、ロキはオーディンが許可したのでなければ、こんなことはしないだろうと察しがつきました。

そこで、真っ直ぐオーディンの元へ行くと、

「あの首飾りはどこにあるんです?もし、あなたがこのことに関わってるなら、あなたは自分の品性を落としたわけですよ」

と責め立てまくります!

が、オーディンは一筋縄ではいきません。

「ほう、堕落について言っているお前は、一体なんだね?神でありながら、お前は全くの貪欲から、お前の身体を四人の汚らわしい小人に売ったのだからな」

ぐうの音も出ないフレイヤ、ここは泣き落とし作戦に限ると判断して、

「わたしの首飾りはどこにあるんです!返して、返して」

と、オーディンにしなだれかかってウソ泣き。オーディンの腕をとったり、もたれかかったりして媚びを売ります。

が、さすがにオーディンは大神!ビクともしません。

「お前はわしの言う通りにしなければ、二度とあれを見ることはないだろうよ。お前は戦争をかき立てなければならない。ミッドガルドの二人の王を見つけて、彼らを互いに争わせることだ。それぞれが二十の属国の王たちに支持されて、戦わせることだ。

お前は死体に新しい命を与えるまじないを使わなければならない。それぞれの戦士は、血にまみれて打ち倒されるとすぐに、傷も受けないで立ち上がり、再び戦わなければならない。

これがわしの条件だ。彼らが望もうと望むまいと、人々をお互いにばらばらに引き裂くことなのだ」

これを聞いたフレイヤ、まったく迷いません。

「やります!だからわたしの首飾りを下さい」

と、即答。

え!何で首飾りが発端で、何の関係もない人間たちが死ななきゃならないのって感じですが……さすがは古代の戦いの神様同士の会話ですね……。

首飾り事件、一番の被害者は?

一説によると、この首飾り事件でフレイヤの旦那(影が薄いですが、旦那がいたのです)はショックのあまり失踪。二度と戻ってきませんでした。

首飾り事件の被害者はもちろん、縁もゆかりもないミッドガルドの王様や戦士たちだったでしょうが、この旦那も十分に被害者……。

ところがフレイヤ、こんなに旦那に心労をかけたというのに反省しませんでした。ブリーシングの首飾りを手に入れて、ますます美しさを増したフレイヤは、あちこちに浮気相手を作ったのでした。終わりッ!

まとめ

フレイヤは美と愛の女神ですが、かなり性的に自由人な女神です。彼女に貞操観念は全く欠けているようです。

しかし当時の考えでは、「美」とは「性的に魅力的」ということで、「愛」は「肉欲」とイコールでした。それをふまえると、フレイヤのこの性格もうなずけますね。

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